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「父なら亀田家と、どう付き合ったのか」ボクシング名門ジムを解雇された“セガレ”の転落人生…アルコール依存症の再発「病室で大谷翔平を見て泣いた」
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栗田シメイShimei Kurita
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/08/04 11:02
多くの世界王者を輩出した協栄ボクシングジムを父から引き継いだ金平桂一郎(写真は2007年)
“雇われ会長”として、西成に拠点を移し、酒も完全に絶つ。かつてはお手伝いさんが身の回りの世話をし、移動には送り迎えがつき、公共交通機関を利用することもなかった。それが今や古びたワンルームマンションで、洗濯、掃除や炊事まで一人でこなす。だが、そんな生活にも曰く言い難い充実感を感じている。
一度はボクシング界から離れたことで、価値観も変わっていった。距離を置いた亀田家との交流も次第に復活したという。
「驚いたのは今でも亀田家は一人一人に個別スポンサーがつき、兄弟で支援者は別々なんです。史郎さんも含めてね、応援したいという人がそれだけいる。実際に和毅の試合でもすぐに数千万円が集まっていく。プロモーターですから、それがいかに異質であるか理解出来るんですよ。具志堅用高さんも、鬼塚君もユーリも誰もそんなことは出来ないですから」
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22年12月に「TMKボクシングジム」を設立後、亀田和毅は4試合をこなし目標に掲げていた世界戦にたどり着く。今年の5月24日。IBF世界フェザー級タイトル戦で王者アンジェロ・レオに和毅は判定で敗れた。現役続行については、明言を避けているが残された時間はそう多くはない。それは、金平にしても同様のことが言えるのだった。
〈第4回に続く〉

