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英国人識者ズバリ「サッカー日本代表選手を安く買える時代は終わった」三笘薫ブライトンに田中碧リーズ…英名門は“19億円→68億円”の錬金術
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ジェームズ・ティペットJames Tippett
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2025/08/09 17:01
三笘薫や田中碧ら英国を主戦場とする日本人プレーヤーが増えたが、クラブ側から見る「獲得の背景」とは
これはファイブサーティエイトのシステムと同様に、国境を越えて数百のチームを同じ基準で格付けするものだが、グロイター・フュルトがドイツ2部リーグのライバルチームだけでなく、なんとプレミアリーグの多くのチームよりも高いレベルのパフォーマンスを発揮したことを示していた(※この会社が「実力順位表」という用語を使うのには、成績に見合った「正当な」順位を示すという意図が込められている)。
世界実力順位表は、まず「過小評価されているチーム」を探し出し、「過小評価されている選手」を見つけるのに有用になる。またクラブの総合ランキングだけでなく、攻撃力と守備力も個別に表示するため、最初からターゲットを絞り込むこともできる。例えばベンハムが経営するクラブの一つであるミッティランが、新たなディフェンダーの獲得を必要としている場合、データの分析担当者は対戦相手にxGをほとんど与えていないチームを洗い出す。この手のチームは守備が強固で、ディフェンダーも優秀なことが多い。一方、フォワードを探しているときには、xGの値が高く、ゴールに直結するような危険な攻撃を数多く仕掛けるチームに注目すればいい。
田中碧リーズに見る“イングランドの格差の小ささ”
グロイター・フュルトの例は、リーグシステムに関する興味深い真実を明らかにした。各国のトップリーグに所属するチームは、下位リーグのチームよりも総じて優れていると考えられてきた。現行の昇格と降格のシステムは、実力に応じてチームを選別していく、公平なメカニズムになっているはずだからだ。
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だが「世界実力順位表」によれば、ディビジョン間の格差はさほど大きくない。
例えばウルバーハンプトン、リーズ(※MF田中碧が所属し、2024-25シーズンは3季ぶりのプレミア復帰を決めた。主力として活躍した田中は1月の試合で決めたスーパーミドルがファン投票で選ぶクラブの年間最優秀ゴール、選手間による年間最優秀選手に選出された)、フラム、ブレントフォードなどの戦いぶりは、プレミアリーグとチャンピオンシップにあまり実力差がない。
より正確に述べるなら、プレミアリーグの下位チームとチャンピオンシップの上位チームには、巷で考えられているほどの違いがないことを示している。
降格したチームがすぐに再昇格するのが難しい事実は、チャンピオンシップでの戦いがいかに厳しいかを物語っていると言えるだろう。

