オリンピックPRESSBACK NUMBER

インターハイ男子100m衝撃の「10秒00」はなぜ起きた?「あれでもう1段階、ギアが上がった」16歳・清水空跳の快挙のウラにあった“ある伏線” 

text by

和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

PROFILE

photograph bySatoshi Wada

posted2025/07/27 17:01

インターハイ男子100m衝撃の「10秒00」はなぜ起きた?「あれでもう1段階、ギアが上がった」16歳・清水空跳の快挙のウラにあった“ある伏線”<Number Web> photograph by Satoshi Wada

100mで10秒00の高校新記録をマークした星稜高2年の清水空跳。衝撃の快記録のウラには直前のレースでの「ある伏線」があった

 スプリント種目で全国トップを争うレベルの選手が、それだけ一気に記録を伸ばすというのは至難の業である。「よほどの“神風”が吹かなければ菅野を上回るのは難しいのでは」というのが大方の見方だったのではないだろうか。

 だが、清水は信じられないほど強靭なメンタルの持ち主だった。

「目標では(自己記録の)10秒19を切るって宣言していたんですけど、決勝1組目の菅野君に10秒06を出されて、『負けたくない』という気持ちが一番にありました。でも、それで力んでしまうとは考えたくなかったので、決勝の前は『自分のレースを絶対に作る』『9秒台を出す』という気持ちでした。もう1段階、ギアが上がったっていう形ですね」

ADVERTISEMENT

 プレッシャーを感じるどころか、気持ちを切り替えて、自分の走りに集中した。

「スタートしてからの40mまでが、今までで一番完璧だったと思う。しっかり乗り込んで、力強く、中心部分を使って走れたと思います」

衝撃の10秒00は…ライバルに引き出された?

 逆境に立たされて力を発揮し、決勝の舞台で会心の走りを見せた。

 清水がマークした「10秒00」は、もちろん本人の実力があってのことだが、1組目を走った菅野の快走が引き出したと見ることもできるだろう。

 もっとも、両者共に「一緒に走りたかった」と口にしていたように、直接対決していれば、競り合いの中でさらなる好記録が誕生していたかもしれない。それは次回以降に持ち越しだ。

 ちなみに、清水のタイムは1/1000秒単位での計測も発表され、その記録はなんと「9秒995」だった。陸上では1/1000秒単位の記録は切り上げられるため、公認記録の9秒台にはわずか0秒005秒届かなかった。

【次ページ】 東京世界陸上の代表は…どうなる?

BACK 1 2 3 NEXT
#清水空跳
#星稜高校
#ウサイン・ボルト
#桐生祥秀
#菅野翔唯
#東農大二高校

陸上の前後の記事

ページトップ