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「首位阪神に10ゲーム差」巨人は、なぜここまで落ちてしまったのか? 岡本和真の離脱で“4番不在”の影響「現実的には2位確保が目標か…」
posted2025/07/25 19:14
前半戦を終え、首位阪神に10ゲーム差をつけられ3位に甘んじている巨人・阿部慎之助監督
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
今年の巨人を観ていて、ヤクルト、阪神、楽天等を指揮した名将・野村克也さんのある言葉を思い出した。
「エースと4番は育てるものではない。出会うもの、勝手に育つもの。教育はできても、育成はできない。育成と補強は別物である」
このノムさんの発言は2000年の阪神監督時代のものだった。
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1998年オフに阪神の監督に就任した野村さんは、99年シーズンを最下位で終わると、2000年も2年連続のテールエンドに終わった。そしてそのオフに久万俊次郎オーナー(当時)に補強を直訴した際に出てきたのが、この発言だったのである。
現在の巨人と阪神の差の要因とは?
そのノムさんの言葉があったからではないだろうが、独走態勢を築く今年の阪神は、ここ数年でしっかりしたチーム作りをしてきた結果と言えるのかもしれない。
今年の巨人と阪神は投手力では、ほぼ互角の戦力を有している。一方で打線の違いが大きくクローズアップされ、現在は4番の岡本和真内野手をケガで欠いた巨人と、主力選手にケガ人がなく稼働している阪神の差と言えるはずだ。
ただ注目すべきは阪神打線は近本光司外野手と中野拓夢内野手の1、2番コンビから3番・森下翔太外野手、4番・佐藤輝明内野手に5番・大山悠輔内野手とつながるクリーンアップまで、役割が明確な主軸打者が全て生え抜きの選手で固められていることなのだ。特に今季は4番に座る佐藤が25本塁打、64打点で2冠に輝き、森下も60打点と順調に若手打者が育ってきている(7月23日現在)。
投打のバランスのいいしっかりしたチーム作りの結果が、現在の巨人と阪神の差として表れてきていると言えるだろう。
そこで巨人である。
オールスターブレークまでの前半戦で89試合を消化して42勝44敗3引き分けの勝率4割8分8厘でかろうじてAクラスの3位は確保したものの、首位を走る阪神とは10ゲーム差。「優勝」の2文字を考えると、かなり絶望的な数字となってしまっている。
“4番・岡本”離脱の影響
昨年のリーグ覇者が、なぜここまで落ちてしまったのか?

