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佐藤輝明、大山悠輔、近本光司「生え抜き軍団で首位独走」阪神タイガース“10年”で何が変わった? 未来を変えたドラフト戦略の転換点
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西尾典文Norifumi Nishio
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/26 11:00
2016年ドラフトで主砲候補の白鴎大・大山悠輔を一本釣りした阪神タイガース。当時の指揮官・金本知憲の意向を汲んだ驚きの指名だった
大きな転換点となったのは、やはり2015年ドラフトではないだろうか。
この年は、就任した金本知憲監督の意向が強く反映されたと言われているが、その方針はエース、4番、トップバッター候補など、とにかくスケールの大きい選手を積極的に1位で獲得するということだった。
そして阪神は東京六大学野球で新記録となるリーグ戦通算131安打をマークした明治大の高山俊(現・オイシックス)を1位で指名し、ヤクルトとの競合の末に引き当てている。高山は8年間の在籍で330安打に終わり、2023年限りで退団したため完全な成功選手とは言い難いが、1年目には134試合に出場して136安打を放ち、打率.275、8本塁打、65打点をマークして新人王に輝くなど残したインパクトは大きかった。その成功がドラフト戦略に与えた影響は大きかったはずである。
伝説ドラフト「大山悠輔の一本釣り」
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そして過去10年で最もインパクトが大きかったのはやはり2016年の大山悠輔だろう。
この年は田中正義(創価大→ソフトバンク)が最大の目玉で5球団が競合したが、その中で阪神は大山を単独指名。これも金本監督の4番打者になれる人材という方針を反映したものと言われている。大山は大学日本代表で4番を務めていたものの、所属していた白鴎大は関甲新学生野球といういわゆる地方リーグのチームであり、一般的な知名度は決して高くはなかった。
そのこともあってドラフト会議後にはこの指名を疑問視するファンの声も非常に多かったが、大山はそんな逆風をはね返して主砲へと成長している。高山、大山と続けて結果が出たことで、阪神のフロント陣の中で自信が深まった部分もあったのではないだろうか。


