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「グシャッ」破裂音が…高校野球で話題“189cm・105kg”幸福の科学学園・エミールは本物か?「プロ志望を明言」「じつは足も速かった…」現地記者が目撃
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byYuji Yanagawa
posted2025/07/24 17:00
話題のドミニカ人留学生、幸福の科学学園のエミールは本物か?
そして、学園の校歌のクレジットには「霊指導・仏陀」、さらに試合中に唄われる応援歌には「作曲・モーツァルト」とあった。大川総裁が自身の守護霊である仏陀の霊指導によって作詞したのが校歌であり、選手たちを発奮させるために用意した応援歌も大川総裁がモーツァルトを霊言することによって作曲したものだという(現在は仏陀とモーツァルトのクレジットは外されている)。そして全員が寮で寄宿生活を送る選手たちは、総裁が当時メジャーで活躍していたイチローの守護霊とする塚原卜伝を呼び出して著した霊言本を読んで、「24時間鍛錬する」ことを学んでいた。
かようにツッコミどころ満載の学校が同校なのだが、エミールや、一緒にドミニカからやってきた捕手のユニオール エルイン・ヌニエス・ジャケスにしてみればそうした学園の背景にある宗教については知る由もなかっただろう。エミールはこう振り返る。
「幸福の科学のことはぜんぜん知らなかった。毎日勉強して、少しずつ理解していった。僕らはドミニカではクリスチャンだったんです。キリスト教と幸福の科学はめっちゃ似ている。今はキリスト教と幸福の科学をミックスして、良い感じです(笑)」
プロ志望届を提出を明言
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純朴なドミニカ人は慣れない異国で成長を遂げ、ドラフト注目の選手に成長した。189cm、105kgという巨漢にしては意外なことに俊足でもある。ただし、打席でも荒さは目立ち、変化球の対応には課題が残るし、外野守備でも時折、緩慢なプレーをしてしまうが、それを補って余りある人並み外れた飛距離と打球速度がある。また、投手としてもMAX145キロを誇るが、栃木大会では背番号「1」ながら登板はなかった。春季大会では投手としてのエミールを「隠し球」と話して期待していた監督によると「球は速いがコントロールが……」とのことだった。
エミールはプロ志望届の提出を明言した。
「日本のプロ野球、どうしてもやりたい。10月のドラフトまで、しっかり自主練して、待ってる。もし指名されなかったとしても、独立リーグか、社会人でやりたい。自分ならやれると思ってる。バッター? 二刀流? バッターでやりたいけど、どっちもやれと言われたらどっちもやる」
野球選手としてはあまりに未完成だ。だからこそ、無限大の伸びしろがある。


