甲子園の風BACK NUMBER
「グシャッ」破裂音が…高校野球で話題“189cm・105kg”幸福の科学学園・エミールは本物か?「プロ志望を明言」「じつは足も速かった…」現地記者が目撃
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byYuji Yanagawa
posted2025/07/24 17:00
話題のドミニカ人留学生、幸福の科学学園のエミールは本物か?
「みんなきっちり時間を守る。もっとルーズでもいいと思う(笑)。あと、お風呂にみんなで入るのも戸惑った。最初はシャワー室で浴びていました。お風呂は慣れたし、カレーも食べられるようになったけど、納豆だけはいまだに無理です」
エミールを日本に連れてきたのは、落合博満政権下の中日で参謀役を担い、2017年から2年に渡って監督も務めた森繁和氏で、父・ドミンゴを日本に導いた人物でもある。現在は幸福の科学学園の特別コーチを務め、栃木大会期間中もバックネット裏から見守る姿が報道された。
「ヤンキースが狙ってる」噂も…本人は否定
「3年前ぐらいかな。森さんから14歳だったエミールの映像を見せられたことがあった。驚きました。技術的には荒削りなんだけど、とにかくパワーがすごくてね。本当かどうかはわからないけど、ニューヨーク・ヤンキースが1億5000万円ぐらいで囲い込もうとしているという噂もあった(エミール自身は否定)。徹底的に基礎技術を叩き込む日本の高校野球を経験したら、化けるかもしれないと思いました」
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そう話したのは、元プロ野球選手で、現在は幾人もの甲子園球児を育成している中学硬式野球の指導者だ。
「その頃から私は強豪校や、プロのスカウトに対して、エミールに注目するように伝えていました。エミールならばアメリカにおける大谷翔平のような存在になるかもしれない、と。当時はみんな話半分で聞いていたけど、今では見方も変わっているでしょう」
同校の棚橋誠一郎監督は来日2年弱のエミールの成長についてこう話す。
「スペイン語を話せる人は誰もいないし、最初はどうなることかと思いましたし、森さんも半信半疑だったんです。日本の野球を理解して、環境を理解して、急成長した。小山西戦のサヨナラのチャンスで、満塁ホームランを打つなんて、そういう星の下に生まれているとしか思えない。もし他の強豪校なんかだったら、エミールを我慢して使うこともないでしょうし、途中でエミールは帰っていたかもしれない。うち(幸福の科学学園)だからこそ成長できたと思います。将来はドミニカと日本の野球を背負って立つ野球選手に成長して欲しい」
なぜ幸福の科学学園へ?
それにしてもなぜ幸福の科学学園だったのか。
筆者が同校の野球部を取材したのは10年前に遡る。2014年の秋季栃木大会でベスト16に進出したというニュースに触れ、PL学園をはじめ日本の新宗教学校の野球部取材に力を入れていた私は同校を見過ごすことはできなかった。そこで校舎のある栃木県の那須精舎を訪ねたのだ。
同校の母体は宗教法人幸福の科学である。ユニホームの胸には「HAPPY SCIENCE ACADEMY」の文字が入り、帽子にある「RO」のロゴは、創始者である大川隆法総裁(2023年に死去)のイニシャルだ。

