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[歴史的偉業の背景]1965-73 V9を支えた「体感10割」
posted2025/07/25 09:00
笑顔の三番・王、監督・川上、四番・長嶋。V9を達成した翌'74年に後楽園球場で撮影
text by

長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
AFLO
半世紀以上が過ぎても、その金字塔は燦々と輝き続ける。不動の四番サード、長嶋茂雄は空前絶後の9年連続日本一を成し遂げたチームに、いったい何をもたらしたのか――。彼と同じフィールドで戦った往年の選手たちを訪ねると、“いかにも”な逸話と、意外な見立てを明かしてくれた。
「プロ野球選手というのは結果がすべて。ホームランにしても打点にしても、王(貞治)さん、張本(勲)さんをはじめ、長嶋(茂雄)さんよりも数字を残している選手は何人もいます。それでもミスターがこれだけ人気なのはどうしてだと思いますか?」
1968年にプロ入りし、V4からV9までレフトのレギュラーとして長嶋のプレーを間近に見てきた高田繁。彼に「V9時代の長嶋茂雄について伺いたい」と告げると、逆に質問された。高田の答えはこうだ。
「それはね、ファンはもちろんチームメイトが“頼む、ここで打ってくれ!”という場面で、100%打ってくれたからですよ」
データを調べるまでもなく「100%打ってくれた」事実はない。それでも、迷いのない口調で高田は続ける。
「もちろん、そんなはずはないんだよ。でも、本当にみんなの期待を裏切らないバッターだった。天覧試合、オールスター、日本シリーズと、ビッグゲームになればなるほど確実に結果を残している。僕のイメージでは打率10割なんですよ。“バカじゃないか?”って思われるかもしれないけど、それぐらい勝負強かったんだから」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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