日本選手権6連覇も「全然、胸を張れる記録ではない」…“反省の弁”に見る田中希実（25歳）の“際立ったスゴさ”「現状維持は後退になってしまう」 

　そんな心の持ちようをよそに、廣中ら実力者を相手に圧巻のレースを見せた。

　この種目では、ケニア人のアグネス・ムカリ（京セラ）がペースメーカーを務めたが、田中は廣中とそこには付かずにペースメーカーの前を走った。

「記録よりも順位を狙うレースですので…」

　レース前半は廣中が前を走り、田中はその後方にぴたりと付いた。

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「璃梨佳ちゃんがちょっときつくなってきて、（前に）出てほしいっていうそぶりを見せていたので、そこで出ようか迷いました。ですが、記録よりも順位を狙うレースですので、そこは心を鬼にして、自分のしたいレースをしようと思いました」

　田中は勝負に徹した。そしてラスト4周。

「余裕があったら行こうと決めていました。後ろの集団も追いついてきていたので、そこで行かないと、自分自身悔いを残すし、しんどいことに向かっていかないといけないと思いました。

　そこまで璃梨佳ちゃんのペースに乗せさせてもらった分、あとは自分1人で後ろをしっかり離すことを意識して、覚悟を持って（ペースを）上げました」

　廣中らを一気に突き放すと、この大舞台で14分台の好記録をマークし、まずは5000mで世界選手権の切符を掴んだ。

大会新記録となる14分台で快勝　©Nanae Suzuki

「まずはほっとしています。日本選手権で日本人として初めて14分台を出す姿を、国立で皆さんにお見せすることができたのは、自分の中でも財産になったかなと思います」

「余裕を残せていた割にラストが上がらなかった」と決して会心のレースというわけではなかったが、それでも胸を撫で下ろしていた。

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