オリンピックPRESSBACK NUMBER

日本選手権6連覇も「全然、胸を張れる記録ではない」…“反省の弁”に見る田中希実(25歳)の“際立ったスゴさ”「現状維持は後退になってしまう」

posted2025/07/15 17:01

 
日本選手権6連覇も「全然、胸を張れる記録ではない」…“反省の弁”に見る田中希実(25歳)の“際立ったスゴさ”「現状維持は後退になってしまう」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

1500mでは2位に5秒以上の差をつける圧勝劇。圧巻の6連覇だったが、レース後の本人は反省の弁が口を衝いた

text by

和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga

 7月に国立競技場で行われた陸上競技の日本選手権。9月には地元・東京開催の世界選手権も控え、例年以上の盛り上がりを見せた3日間だった。そんな大会で女子MVPを獲得したのが5000mで4連覇、1500mでは6連覇を達成した田中希実(New Balance)だった。では、そんな第一人者を見てベテラン記者が感じた「凄味」とは何だったのだろうか?《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》

“勝つべくして勝つ”――それがいかに難しいことか、今回の日本選手権では度々思わされた。

 自国開催の世界選手権を9月に控え、その日本代表の座がかかる一戦に大きなプレッシャーもあっただろう。また、7月開催となり、選手たちは連日30度を超える暑さとも戦わなければならなかった。

 原因は様々だが、優勝候補にアクシデントが相次いだだけでなく、万全な状態で大会を迎えられなかった有力選手も多かった。

波乱が続いた今年の日本選手権

ADVERTISEMENT

 たとえば、男子100mでは、すでに参加標準記録をクリアしているサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が、直前に右股関節の上部をケガ(骨挫傷)した影響で、予選で敗退。また、ワールドランキングで世界選手権の出場圏内にいる栁田大輝(東洋大)は、まさかの不正スタートで予選で姿を消した。

 男子400mでは、日本記録保持者の佐藤拳太郎(富士通)が予選敗退。44秒台をもつ佐藤風雅(ミズノ)は決勝でレーンの内側を走り失格に終わった。さらに、男子400mハードルでは、前回王者の豊田兼(トヨタ自動車)が、直前のぎっくり腰の影響か、予選で敗退した。

【次ページ】 重圧の中で「勝ち切った」田中のすごさ

1 2 3 4 NEXT
#田中希実
#ニューバランス
#山口智規
#早稲田大学
#廣中璃梨佳
#日本郵政グループ

陸上の前後の記事