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「注射を打って…先が見えなかった」32歳吉田正尚が明かした“壮絶なリハビリ”…冷遇→感動の復帰戦ウラ側「ただ、トレード期限まで“波乱”は続く」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byAP/AFLO
posted2025/07/15 06:00
7月9日、復帰戦となったロッキーズ戦で3安打を放った吉田正尚。7月15日に32歳になった
今季のレッドソックスは正一塁手のトリスタン・カサスが故障離脱し、生え抜きスターのラファエル・デバースがその穴埋めとして一塁の守備練習を拒否したことが大きな話題になった（注・公平を期して記すと、デバースは開幕前に三塁手からDHへの転向を受け入れたあとの“再転向依頼”だった）。結局は6月中旬、デバースがジャイアンツにトレードされる顛末となったのはまだ記憶に新しい。
そんな一連の騒ぎを経て、シーズン中の試みにも不満らしきものはまったく感じさせず、黙々と一塁の練習メニューに取り組む吉田の姿と謙虚な語り口は新鮮に映った。
デバースと吉田ではメジャーにおける実績が違うといえばそれまで。ただ、吉田にしてもNPB、WBCでは主軸として優勝に貢献したほどのキャリアを誇り、7月15日に32歳になったベテランである。チーム事情で厳しい立場に置かれても、不慣れな守備の練習を命じられても、懸命に取り組む姿勢はその人柄とキャラクターを象徴しているかのようだった。
「マサはプロフェッショナル」
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このようにさまざまな経験を経てメジャーの舞台に戻っても、レッドソックスでの吉田の立場が保証されたわけではない。復帰戦での3安打のあとでも、10日のレイズ戦では対戦相手が右投手だったのにもかかわらずスタメンから外れた。
「打つことに関してマサはプロフェッショナル。おかげでここ最近で一番“厚みのある打線”になった」
吉田の復帰後、アレックス・コーラ監督はそう語って目を細めてはいたが、その“厚み”がゆえに選手起用は難しくなる。今のレッドソックスには実際に多くの外野手が揃っており、日々の打順構成はその日の状態、マッチアップ、守備力、将来性などさまざまなことが考慮されて決められる。
チームは12日まで破竹の9連勝。プレーオフ争いに食い込んできているのも起用法を難しくさせる要素かもしれない。7月31日のトレード期限までに吉田を含む誰かが放出される可能性も少なからずあり、波乱の時間はもうしばらく続いていきそうだ。
