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「注射を打って…先が見えなかった」32歳吉田正尚が明かした“壮絶なリハビリ”…冷遇→感動の復帰戦ウラ側「ただ、トレード期限まで“波乱”は続く」

posted2025/07/15 06:00

 
「注射を打って…先が見えなかった」32歳吉田正尚が明かした“壮絶なリハビリ”…冷遇→感動の復帰戦ウラ側「ただ、トレード期限まで“波乱”は続く」<Number Web> photograph by AP/AFLO

7月9日、復帰戦となったロッキーズ戦で3安打を放った吉田正尚。7月15日に32歳になった

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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「ベースボールの神様は見ている」などと言ったら、少々大袈裟なのかもしれない。

 しかし、ボストン・レッドソックスの吉田正尚の活躍を見ていて、そう感じずにはいられなかった。

 現地7月9日、昨秋に受けた右肩手術からの復帰戦となった地元ボストンでのロッキーズ戦で、吉田はいきなり3安打をマークした。2025年の初打席で右腕アントニオ・センザテーラの96マイルの速球を中前に痛烈に弾き返すクリーンヒットを放つと、ヒッティングマシーンは波に乗る。第2打席で右前適時打、第4打席は右翼線二塁打。「Masa is back!」の打撃ショーで魅了し、ダッグアウトに戻った際には同僚たちから満面の笑みで迎えられた。ほとんどもみくちゃにされて思わず表情を崩した背番号7の姿を見て、胸を熱くしたファンは少なくなかったはずだ。

「先が見えなくなってしまった」

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「去年のオフシーズンからずっと向き合ってやってきた。こうして今日、試合に出られて、終えられて、本当にいい形でスタートが切れました」

 試合後、そう語った吉田本人が安堵の表情だったのも理解できる。

 ここまで長い道のりだった。昨年10月、シーズンを通じて悩まされてきた右肩に手術を受けると、今季は外野守備時のスローイングの準備が整わずに開幕は負傷者リストでスタート。4月にはフロリダで“Extended Spring Training”と称される若手選手との対外練習試合で守備につけるまで回復したが、そこで再び悪夢が襲った。

「それまで順調に上がっていて、キャッチボールもできていた。それが試合レベルのスローイングの時に痛みがどうしても出てしまった」

 5月上旬、患部にコルチゾン注射を打つことを余儀なくされ、リハビリはまた白紙状態からやり直しに。普段はほとんど感情を表に出さない吉田だが、セットバックを経験したこの時期の話をする際には珍しく視線を落とした。

「(気持ちが)少し落ちた時もありました。注射を打ってからバッティングもできなくなり、先が見えなくなってしまった。そこはちょっとこたえました」

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#吉田正尚
#ボストン・レッドソックス

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