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「大の里の重みで身体が壊される感じでした」二所ノ関親方が明かした新横綱・大の里との“仕上げの稽古”「ひと場所でこんなに変わるものなのか…」
 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKosuke Mae

posted2025/07/16 11:13

「大の里の重みで身体が壊される感じでした」二所ノ関親方が明かした新横綱・大の里との“仕上げの稽古”「ひと場所でこんなに変わるものなのか…」<Number Web> photograph by Kosuke Mae

192cm、191kgの巨躯を活かして史上最速で横綱に上り詰めた大の里

「2月の1カ月間、フルに稽古するというわけにはいきませんでしたが、とにかく徹底して稽古に励みました。三月場所を前に大阪に入ってからも集中した稽古ができて、それが優勝につながったと思います。意識の変化によって、ひと場所でこんなに変わるものなのかという大きな発見がありました」

 続く五月場所で連続優勝、あるいはそれに準じる成績を残せば横綱昇進という道が見えてきた。初土俵が2年前の五月場所だったことを思うと異例のスピードである。それでも、小さなアクシデントがあった。

「一部報道にも出ていますが、4月に蜂窩織炎になってしまいまして。その期間、稽古が不足して不安もあり、回復してから急ピッチで仕上げた状況でした」

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 大の里は休みを返上し、出稽古に足を運ぶなど、休んだ期間を取り戻すべく稽古に励んだ。そしてその仕上げが師匠との相撲だった。

「五月場所の前、最終的には親方と相撲を取りました。親方、いまでも十分に強いですよ。これまでは負けることもありましたが、今回ばかりは現役の自分の方が強いという意識もあり、ほとんど負けることなく、完璧な相撲を取ることができました。これが最終的な自信になり五月場所を迎えられました」

身体の芯が壊される重み

 このときの稽古を、二所ノ関親方はこう振り返る。

「大の里の重みで、身体の芯が壊される感じでした。重みがこんなに違うと、これだけ身体がぶっ壊れるのかと驚きましたよ。現役時代には経験できなかったことを、大の里のおかげで味わえています(笑)」

 一方、大の里はこの稽古を通じて「気の奪い合い」をしていたと話す。

「蹲踞した時、向き合って呼吸している時に感じるものがあります。初めて、親方と相撲を取った時は、自分の『気』を奪われていることを感じました。あの感覚は忘れられないです。それが、五月場所を前にした稽古の時は、逆に自分が親方の『何か』を奪ってやろうと思っていました。その結果、親方の間合いにさせることなく相撲を取ることが出来た。あの稽古を終えて、完璧な状態に持っていくことが出来たと思います」

 師匠と弟子の稽古。弟子は入門2年にして、親方の気を奪うところまで成長していたのである。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の《独占インタビュー》「僕は誰にも似ていない」大の里が語る"理想の横綱像”と「左手は添えるだけ」の極意とは?で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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