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8キロ増“191キロ”に「太り過ぎ」の声も…新横綱・大の里はなぜ強い? じつは“常識外だらけ”の正体「本場所でこんなことをする力士はいない」
posted2025/06/06 11:03

横綱昇進を決めた夏場所、支度部屋での大の里。すでに“綱の貫禄”が漂っていた
text by

荒井太郎Taro Arai
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
8キロの増量「太り過ぎ」の声も…スピードに鈍りなし
初の綱取りに挑む夏場所前の4月30日の計測では、体重がこれまでより8キロも増えて191キロとなり、幕内最重量となった。体調不良もあって翌5月1日に行われた、所属する二所一門の連合稽古を欠席。翌日の横綱審議委員会による稽古総見でも、横綱豊昇龍とは9番の手合わせがあって1勝8敗と振るわなかった。
「上半身と下半身がバラバラだった」と振り返ったが「体重は増えたけど、体は動いている」と、一部で「太り過ぎ」を指摘する声もあったが問題がないことを強調。その後は急ピッチではあったが、初日までにはきっちりと仕上げてきた。
大きな体を生かし、圧力をかけながら前に攻める相撲は迫力満点であり、規格外のパワーは大の里の大きな持ち味ではあるが、あの巨体を持て余すことなく、鋭い出足で相手を一気の速攻で圧倒するところにこそ、“100年に一人”と言われる超逸材の非凡さがある。あれだけの巨漢でありながら、パワーとスピードの両方を兼ね備えた力士は、過去を含めてもまず見当たらない。
「本場所でこんなことをする力士はいない」
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「落ち着いて伸び伸びと何も考えることなく、思い切って取れてよかった」
1場所15日制下において、綱取り大関としては史上初めて13日目に優勝を決めると、この場所の相撲ぶりについてそう振り返った。盤石な相撲を取り切り、連覇で4度目の優勝を決めるとともに綱を手繰り寄せたが、11日目の小結若隆景戦は唯一、相手得意の形を許した一番となった。
立ち合いのもろ手突きは若隆景に下からうまくあてがわれ不発。ならばと右を差そうとするが、これも相撲巧者の左からの強烈なおっつけで果たせず、たちまち相手を懐に入れてしまった。理詰めの攻めで自分十分となった若隆景は左を深く差し、頭をつける絶好の体勢となった。