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「松永一族は最悪で最低だったけど…」選手会長だった堀田祐美子がすべて激白“全女のカネ”問題…今年プロレス40周年で“現役を続ける理由” 

text by

伊藤雅奈子

伊藤雅奈子Kanako Ito

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photograph byShiro Miyake

posted2025/07/31 11:05

「松永一族は最悪で最低だったけど…」選手会長だった堀田祐美子がすべて激白“全女のカネ”問題…今年プロレス40周年で“現役を続ける理由”<Number Web> photograph by Shiro Miyake

堀田祐美子が今明かす、全女の実態と愛情(インタビュー第3回)

――新人時代に食らったさまざまな制裁は、アクシデントではなく意図的ですよね。

堀田 でも、相手が先輩だから「ごめんね」は言われないし、しゃべってももらえない。(ケガをさせられても)病院代はもちろん実費だし、というか病院に行くっていうことがあまりなかった。靭帯を切っても、病院に行かなかったよ。なぜかというと、行って手術とか入院になると(出場メンバーから)落とされちゃうから。それが怖いから自力で治す、みたいな。

――欠場すると、後輩や同期に居場所を奪われてしまうから。

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堀田 そう、そう。(松永高司)会長はそういう人だから。「できない子はいらないよ。次(の選手)はいくらでもいるから」って。だから、なんとか落されないように、ギリギリでもいいからぶら下がっていることに精いっぱい。

「松永一族は人としては最悪で最低だったけど…」

――だからといって、ケガは自力で治せない。

堀田 うん。無理だよ。靭帯を切ったりしたときはロープに走れなくて、そんなんじゃ試合ができないからって、会社に休まされた。たまたま1カ月半ぐらいの巡業で、居残りで休めたから、ラッキーだったなって。脱臼や骨折は、ケガのうちに入らないわけ。補強するテープもないから、肩を脱臼したらゴムのサポーターを巻くんだけど、それが緩くてさ、やっても意味ないじゃんっていう治療の仕方で。最悪なときは、ガムテープで止めてたよ、みんな。片足を引きずりながら雑用をするのは当たり前で、それでも誰も何も言わない。みんな、どこかしらケガをしてる。あばらを骨折したりしても、「痛い」って言いながらやってたもん、私も。だから、昔の選手はいまになってみんなガタがきてるんだよね。

――そんな弱肉強食の全女で何度も大ケガを負い、あげくに友人を巻き込んで返済保証がない融資をしたにもかかわらず、出てくる言葉が「感謝」っていうのは、もうマジックにかかっているとしか思えない。

堀田 おかしいでしょ? 後悔もないし、恨むこともない。感謝しかないんだよね。ただ、勘違いしてほしくないんだけど、松永一族は人としては最悪で最低だったと思うけど、だからこそバネにできたし、お金では代えられないものを得た。いまでも言われることが多いの、「あのときの全女はすごかったですね」って。それが「40年間もプロレスを続けるってすごいね」っていう評価につながってるから、両膝の人工関節手術を受けてもまだ、続けてるんだと思う。「みじめだよ」って言われたら辞めるけど、いまは引退が見えてないし、全女で学んだ心や気持ちで闘う姿勢を、それこそ“全女イズム”を、若い次の世代の子たちに伝えていきたいっていう気持ちが強い。だから、引退は見えないかな。わかんないけどね。40周年の大会で、突然辞めちゃうかもしれないし(笑)。《インタビュー第1回第2回も公開中です》

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「ボコボコにされ、バスから転げ落ちて…」全女で“本当にあった”壮絶なイジメ…堀田祐美子が今明かす「喧嘩マッチをけしかけた“まさかの黒幕”」
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