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「しょうがない。全女は終わりだ!」ついに明かされる“倒産の真実”…堀田祐美子が会社に渡した1000万円、その1週間後に「1000万貸して」
posted2025/07/31 11:04
当時選手会長だった堀田祐美子が、全女倒産の日の真実を明かす(インタビュー第2回)
text by

伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
L)東京スポーツ新聞社、R)Shiro Miyake
1997年10月21日、全日本女子プロレス興業(以下、全女)は2度目の不渡りを出したことを理由に、倒産を発表した。当時、最年長だった堀田祐美子は選手会長。しかし、役職手当はおろか、ほかの選手と同様に給料未払いが続いていた。創業者で経営陣の松永健司、高司、国松、俊国の4兄弟は、金策に奔走する毎日。最終的に、1000万円を調達できずに倒産した。堀田は、その席に2回もいた。不渡りを回避できた日。不渡りが出た日。事務所で何が起こっていたのか――。
◆◆◆
全女からの支払いが“日払い”になった
堀田 そのころ、(キャリアが)いちばん上だったので選手会長をやってて、選手と会社の中間にいたのね。これは、つらかった! 会社からは、「今日試合をした分は日払いで渡すから」って言われてたんだけど、ある日から出なくなって、離脱した選手たちが「もう(試合会場に)行かない!」ってボイコットしたの。だけど、私は「とりあえず今日だけは行こう。行って会社と話しあって、(こんなことが続くなら)次からは行きませんというようにするから」と言って、最終的にみんな行ったんだけど、「堀田さんはどっちの味方なんだ?」って不信に思われて、相当、悪者だった。選手会長は選手を守らないといけないけど、でも、全女も守らなくちゃいけない。先輩が代々続けてくれた全女だからさ、どっちを取るかっていったら、私は全女だった。若い子たちを取らなかったことで批判されるのはごもっともだし、恨んでる子も多いと思うし、結果、不信感を持った子たちが辞めていった。
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――堀田選手にも未払いがあったんですよね?
堀田 うん。あった。「でも、堀田さんは不自由しないでしょ」って言われたの。たしかに、助けてくれる友達はいたし、お金を借りたりもしたけど、そこは別じゃんと思ってはいたけど、それは言えず。離脱した子たちはもう、全女を出たい意思が固まってたのかな。ローンがあったのか、借金してたのか、みんなのプライベートまではわかんないし、そこまで踏み込んだほうがよかったのかなっていう後悔もあるけど、いずれにせよ、私は「全女に残ります」と。新生・全女になって、日払いで試合をやるなかでは、どうにかみんな、多少なりとも生活はできてたと思うんだよね。で、さっき言った“助けてくれる友達”につながるんだけど、「その子に1000万円貸してって頼んでほしい」って言われたの、会社から。

