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「松永一族は最悪で最低だったけど…」選手会長だった堀田祐美子がすべて激白“全女のカネ”問題…今年プロレス40周年で“現役を続ける理由” 

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伊藤雅奈子

伊藤雅奈子Kanako Ito

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photograph byShiro Miyake

posted2025/07/31 11:05

「松永一族は最悪で最低だったけど…」選手会長だった堀田祐美子がすべて激白“全女のカネ”問題…今年プロレス40周年で“現役を続ける理由”<Number Web> photograph by Shiro Miyake

堀田祐美子が今明かす、全女の実態と愛情(インタビュー第3回)

「全女がイチバン」だっていまでも思ってる

――堀田選手は1985年に起こったクラッシュ・ギャルズと極悪同盟を中心とした女子プロレスブームも、1994年をピークとした団体対抗戦も、1997年の倒産も、全女所属選手として唯一体感した現役なんですね。今年は全女が解散してちょうど20年の節目なので、今一度振り返っていただきたいなと。

堀田 「全女がイチバン」だっていまでも思ってるし、全日本女子プロレスがなければ女子プロレスという構造そのものも生まれなかったのは、事実でしょ。やってることはハチャメチャな松永ファミリーだったけど、だからこそ実現できた部分もたくさんあっただろうし、女の子をリングに上げて闘わせるなんていう発想が、普通の人にはない時代にはじめたのは松永ファミリー。それが、いまも続いてるってすごいことだよ。私はね、高校を出て社会を何も知らないような状態で全女に入って、普通の人生を歩んでいたらできないような経験を、たくさんさせてもらったから、感謝してる。ハチャメチャで、おかしなところも全部含めてね(笑)。40周年の記念興行(8月15日、後楽園ホール)には元全女の選手たちにリングに上がってもらうし、初めての自伝(8月15日に会場で先行発売される『未完の大器』)でも全女のことをたくさん書いた。いまの自分がいるのは、間違いなく全日本女子プロレスがあったからなんだよ。

――新人時代は不条理なことが多すぎたので、心のなかでは反発していたでしょうけど。

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堀田 そんなことないよ。だって、当たり前だと思ってたから。特に私の場合は、全女に入れて、あこがれた長与千種さんの近くにいれたわけだから、いじめぐらいはしょうがないし、ボコボコにされるのは仕事だし。いちばん恐れるのは、最終的に私が死んでしまうことで、それ以外はべつに何があろうが、生きていればそれでいいのかなっていうね。それ以上の何かが起こったとしても、全女に残っていたいと思ってたし、精神的に壊れてしまったらもういれないだろうけど、そこまで追い込まれるようなことはなかったので。ちこさん(長与)が守ってくれてたというのが大きいけど。

「おかしくなかったら、全女でプロレスなんかできない」

――追い込まれるほどの実害は、十分被っていると思いますよ。どう考えても、控室やトイレに付着した血を見て、「誰かがやられたんだな」で済ませることができる世界はおかしいですよ。

堀田 おかしくなかったら、全女で長年プロレスなんかできないよね(笑)。特殊すぎる仕事で、生きてる動物同士の生きるか死ぬかの闘いが、毎日だから。そこで生き残れなかったら、自分が悪いでしょって。獲物を獲れなかった自分が悪いんじゃんって。生き残った者が勝ちなんだから。だって、ケガをさせてもさせられても、「ごめんね」で終わる世界だよ。そんな職場、ないよね。最近も、「堀田さんのいついつの試合で私、手を骨折してたんですよ」って言われたんだけど、「えーっ! もう何十年も前のことじゃん。時効だよね」で終わっちゃった。

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