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「挙式11日後、28歳で事故死…残された子供は3人」リバプール名FWの悲報にクリロナもクロップも各国記者もガク然「ジョタが危険なドライブなんて」
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph byMaja Hitij - UEFA/Getty Images
posted2025/07/04 18:34
リバプールでのプレミア優勝に続き、6月にはUEFAネーションズリーグ制覇を経験したジョタ。突然の悲報にサッカー界は悲しみに包まれている
プレミアリーグでの7シーズンで190試合に出場し、63得点20アシストを記録。ボックス内でファウルされた数は4回と、相手にとって厄介な攻撃手だった。底なしのスタミナでクレバーに動き回り、いかなるときも落ち着いてボールを扱い、高精度のシュートでネットを揺さぶった。『ガーディアン』紙に寄稿するジョン・ブルーウィン記者は、「現在のプレミアリーグで最高のフィニッシャーのひとり」と評している。
また状況を正しく理解し、プレーの判断も的確だった。2020-21シーズンから1年半、リバプールで共にプレーした南野拓実のインスタグラムには、ジョタの巧みなアシストから南野がゴールを決めるシーンがアップされているなど、仲間たちの信頼は厚かった。
クロップもSNSで「胸が張り裂けそうだ」
ジョタの恩師のひとり、クロップ元監督は自身のSNSにこう綴った。
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「ディオゴと彼の弟アンドレの訃報を聞いて、胸が張り裂けそうだ」
「ディオゴはただのファンタスティックな選手ではなく、最高の友人で、愛情深く優しい夫と父でもあった!」
ジョタのパーソナリティーに関する記述を読むと、誰もがそうした印象を語っている。賢く控えめで献身的、心優しく親切で、困っている人には手を差し伸べ、誰にでも気さくに応対するナイスガイ。ユース時代にその大きな才能から、指導者にクリスティアーノ・ロナウドの後継者と称えられると、恥ずかしくなって赤面したという。トッププレーヤーになった後も、スーパースターのように振る舞うことはなく、地元ファンと積極的に交流し、ある時にはリバプールの宿敵エバートンの良さを語ることさえあった。
リバプールのファンが歌うジョタのチャントは、アルゼンチンのサポーターが替え歌にしたクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの『バッド・ムーン・ライジング』のメロディに、次の歌詞を乗せたものだ。
〈オー、彼は背番号20をまとっている。オレたちを勝利に導いてくれる選手だ。左ウイングを駆け抜ける時、内に切れ込んでLFCのためにゴールを決める。ポルトガルからやってきた彼は、フィーゴよりすごいんだぜ。オー、彼の名はディオゴ!〉
イブラヒモビッチが語っていた“スピードの極限”
家族、友人、チームメイト、指導者、関係者、そしてファンと、文字通りすべての人に愛されたフットボーラーだった。それだけに、この事故は不思議でならない。

