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「チケット? もちろんない」それでもファンは決勝の地へ。
posted2025/07/01 09:00

決勝が行われるスタジアムの前でカードを掲げ、チケットを求めるサッカーファン
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豊福晋Shin Toyofuku
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Shin Toyofuku
決勝チケット求む――。
嘆願に近いフレーズがあらゆる言語で飛びかっていた。イタリア語にフランス語、英語にドイツ語。チャンピオンズリーグ決勝を前に、奇跡を信じる人々の声がミュンヘンのあちこちに響いた。
インテルとパリSGが対戦した今回の決勝、それぞれのクラブのサポーターに売られたのは1万8000枚だ。しかし熱心なファンはいてもたってもいられず、チケットを持たずとも決勝の地へ駆けつけた。約4万人のインテルファンがドイツに集結し、実際に中心部マリエン広場はイタリア人ばかりだった。
決勝前夜、広場近くの食堂で日本から来た写真家たちと肉をつついていると、フロアのほとんどがイタリア人だった。隣はシチリア島パレルモからやってきた夫婦だ。
