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長嶋茂雄は「普通の人でしたよ」…4日連続弔問が話題“ミスターの弟分”柴田勲が語った意外な素顔 オフの“山籠もり”に同行も「割り勘だぞ!」
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田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/26 11:01
1967年、リーグ3連覇を祝う祝勝会での柴田勲と長嶋茂雄。当時から長嶋に「弟分としてかわいがってもらった」と柴田は振り返る
柴田によれば、81年に現役を引退してからは長嶋との距離が一層、縮まったそうだ。
「柴田、明日ゴルフに付き合え」
「はい」
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このやり取りが当たり前になった。
あるとき、柴田が馴染みの店があるのだと長嶋に話すと「紹介してくれ」と頼まれた。長嶋が店の主人と同い年だったことで意気投合し、そこからこの3人と土井を加えた4人が不動のゴルフ仲間となった。
「だから、そういうところが普通なんです。ゴルフをやっているときは真剣でね、すごく強いんだけども、それ以外は別に面白い話をするわけでもなく、誰でもするような会話しかしてませんよ。店の主人と仲良くするとか、そういうプライベートを大事にしたかったから、僕たちをしょっちゅうゴルフに連れて行ってくれたのかもしれませんよね」
「会って緊張するのは長嶋さんだけ」
2004年に長嶋が脳梗塞を患ってからはその機会もなくなってしまったが、食事をともにするなどプライベートの交流は続いた。晩年に車いすでの生活が中心になるまでは、柴田は自宅周辺を散歩する長嶋と会うこともあり、日常的な挨拶を欠かさなかった。
「おお柴田ぁ、元気でやってるかぁ」
「長嶋さんもお元気でなによりです」
他愛のない会話でも、いつだって柴田は背筋を伸ばす。普通の姿を知っている弟分とはいえ、やはり彼にとっては長嶋茂雄とは、永遠のスーパースターなのである。
「会って緊張するのは長嶋さんだけです。あの『長嶋茂雄』が醸し出すオーラっていうのかな。それだけでファンの心を掴んじゃうわけじゃないですか。普通の長嶋さんを知っている僕でさえ、そうなるんですからね。あんな人は二度と現れませんよ」

