大学野球の関西“超名門校”がなぜ「全国大会辞退」に？ ドラフト候補たちの無念…ベテラン記者が思う「連帯責任」と「個人責任」の線引きとは 

　もちろん立場の弱い下級生の立場としては理不尽とは感じるだろうが、そこは「連帯責任」にもある程度の許容ができる。

　一方で、今回の選手個人による不祥事のように、部から離れたプライベートな時間に起きた事なら、同じ部のチームメイトだからといって周りの者が止めるのは不可能に近い。その責をチームに求めるのはなかなかに難しい気がしてしまう。

　今回の大阪商大の事件は、2件とも事案の性格は「個人責任」だ。

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　短期間に重なって発覚したから、「連帯責任」の全国大会出場辞退という重たいペナルティになったのだろうか？　なかなかその線引きに納得のいく理解が難しいところだ。

　最後の試合の「1勝」がなかったらリーグ優勝を逸していた場面で、2日連投の完投勝利という一世一代の大奮投をやってのけたエース・鈴木豪太投手の無念さはあまりにも深く、大きく、察するに余りある。

多くの選手に影響が出てしまう連帯責任。そこには大きな難しさもある　©Sankei Shimbun

　例えば海の向こう、アメリカの大学ではこういったケースでチームが出場辞退となることはほとんどない。

　個人が不祥事を起こせば、その責任は個人にある。一方、組織ぐるみの隠蔽や管理責任の放棄があれば、学校や指導者が責を負う。責任の所在が明確だからこそ、チーム全体の「連帯責任」とはならないのだ。NCAAという統治組織のもと、こうした厳格なルールに基づいた運用が行われている。その基準にはブレがない。

野球界で多い連帯責任…本当に正しいのか？

　上で述べた真鍋選手は、2年前の秋、「まさかのドラフト指名漏れ」で大きな話題にもなった。その失意から立ち直るべく、大学で日々、厳しいトレーニングを重ねてきていた。

　もちろん真鍋選手だけでなく、そういった選手たちにとって、全国の舞台でのアピールの場が一つ減るというのは、大げさではなく彼らの人生、未来にかかわることでもある。

　思考停止での連帯責任は、果たして本当に正しいのだろうか。