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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
大学野球の関西“超名門校”がなぜ「全国大会辞退」に? ドラフト候補たちの無念…ベテラン記者が思う「連帯責任」と「個人責任」の線引きとは
posted2025/06/18 17:02

ドラフト注目選手も多かった大阪商業大学。不祥事による全国大会辞退が及ぼす影響は大きい
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
大学野球の名門・大阪商業大学が、6月の全日本大学野球選手権大会の出場を辞退した。野球部での相次ぐ不祥事を受けての判断だった一方で、個人の不祥事に連帯責任としてチーム全体にペナルティを与えるケースは、過去にも多くの賛否を生んできた。ベテラン記者が考えるその「線引き」はどこなのだろうか。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
今年の「全日本大学野球選手権大会」(以降、「大学選手権」と略す)も東北福祉大の優勝で幕を閉じて、春の学生野球シーズンも終わりを告げた。その大学選手権に、本来なら優勝候補の一角に数えられるべきである名門・大阪商業大学の姿がなかった。
まず起きたのが、春のリーグ戦の最中に、富山陽一前監督が車検の切れた軽トラックを知人に運転させていたという容疑で逮捕されるまさかの事態。それでもそんな苦境の中、どうにかこうにか残された選手・スタッフが一丸となって、7季連続28回目のリーグ優勝を達成してみせていた。
しかし、本当の「驚愕」はそのあとにやって来た。
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あろうことか、今度は前日にともに優勝を喜び合ったチームメイトが、性的犯罪で逮捕されたという報道が飛び交った。
名門校の不祥事…全国大会辞退の衝撃
連盟からの処分は、「2カ月間の対外試合自粛勧告」。しかし、その2カ月の間に、リーグ優勝して出場が決まっていた大学選手権が含まれていて、「全国の舞台」もその扉を閉ざされてしまった。
心配のひとつが、残された部員の中に先行きに絶望して「野球」を投げ出す選手がいなければいいが……ということだった。
あるテレビ番組の取材で、この3年間、毎年夏の終わりごろに大阪商大のグラウンドにおじゃましていた。
車でしか行けないと聞いて、大阪の街中からおよそ1時間。