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落合博満に「ここまで来たら50歳までやれ」と…「100万回やり直してもない」“奇跡の野球人生” レジェンド・山本昌が語る「令和のドラゴンズ」
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2025/06/20 11:04
現役引退から10年が経ち、今年で還暦を迎える元中日の山本昌。30年以上も現役を続けたレジェンドが見る「令和のドラゴンズ」評とは?
チームは落合が率いた11年を最後にリーグ優勝から遠ざかっており、目下、3年連続最下位と低迷中だ。停滞した雰囲気を一掃するためにも、山本昌は今季から新指揮官に就任した井上一樹監督のキャラクターに注目する。
「井上監督や首脳陣も暗くならないように、努めて明るく頑張ってくれていますよね。勝てば自然と雰囲気がよくなるものです。結果が出なければ、選手に力がないととらえられても仕方ありません。でも、いい選手を獲ってきているので、いまは彼らが一人前になる過程だと思っています。村松(開人)であったり、福永(裕基)であったり、石川昂弥であったり、細川や岡林(勇希)らがいる。彼らが超一流になっていけば、またドラゴンズの黄金期がやってくると思います」
超一流選手特有の「記憶力」
マウンドでみせた変幻自在の球筋と同じように、つかみどころのない人なのだろうと映っていた。だが、いざ、向き合って話を訊くとみずからの野球人生を振り返るその口調は肩肘張ったところがなく、目の前でケーキをたいらげる姿も自然体そのもの。そして、時折、芯の強さを覗かせるのだ。
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気づいた人もおられるだろう。自身のコメントが示す、もう何十年も前の出来事をまるで昨日のことのように話す記憶の確かさは、超一流の選手たちに目立つ特長である。まさに「50歳現役」の凄みだった。
「5時からバンテリンドームに行かなきゃいけないので。急かしてすみません!」
そう言うと風のように消えた。
来季、中日は球団創設90周年を迎える。輝かしい未来に向けて、不世出の大投手はその萌芽を見つけている。

