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「もう勝てないかもしれない」元大関も脱帽…“史上最速昇進”新横綱・大の里の“本当のスゴさ” 指導者が語った「同じ相手に2度負けない」ワケは?
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宝田将志Shoji Takarada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2025/06/18 11:01
史上最速のスピードで第75代横綱に昇進した大の里。その類稀な運動能力はもちろんのこと、かつての指導者が語った凄さは他にもあるという
幕内で2度以上対戦した力士は27人おり、そのうち負け越している相手は、引退した阿武咲(0勝2敗)と豊昇龍(1勝6敗 ※不戦勝除く)の2人しかいない。五分の相手も高安(2勝2敗 ※優勝決定戦を含む)と御嶽海(1勝1敗)だけ。あとは全て対戦成績で上回っている。
歴史的スピード昇進は、こうして成し遂げられた。
大鵬、輪島を超える“最速昇進”
現在と同じ年6場所制となった昭和33年以降、初土俵から13場所での昇進は輪島の21場所を抜き最速。新入幕から9場所も大鵬の11場所を抜いて最速だ。横綱昇進までに輪島は3場所(東十両4、西前頭5、西前頭2)、大鵬は2場所(西幕下2、東前頭4)で負け越しているが、大の里は一度も負け越すことなく最高位に上り詰めた。
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192センチ、191キロの体を生かし、右を差して前に出るのが最も力の出る形。左から押っつけることで相手にうまく圧力をかけられる相撲も増えてきた。横綱昇進を決めた夏場所後には取り口への手応えを、こう語っている。
「今場所は右も左も手の使い方が完璧だった。相手をコントロールできていたと思う」
大の里の圧倒的な馬力相撲を攻略する“天敵”は出てくるか。そして、大の里は対戦成績で大きく負け越している豊昇龍にどう勝っていくのか。
考える機会が増えれば増えるほど、新横綱の力はさらに引き出されていくだろう。

