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「もう勝てないかもしれない」元大関も脱帽…“史上最速昇進”新横綱・大の里の“本当のスゴさ” 指導者が語った「同じ相手に2度負けない」ワケは?
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宝田将志Shoji Takarada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2025/06/18 11:01
史上最速のスピードで第75代横綱に昇進した大の里。その類稀な運動能力はもちろんのこと、かつての指導者が語った凄さは他にもあるという
その日の対戦は頭から当たって左を差し、大の里が呼び込むような右上手投げに来た瞬間を逃さず寄り切った。しかし、これを最後に高安は大の里に勝てていない。
春場所の優勝決定戦は同じように左をねじ込んだものの、今度は右上手を引いてどんどん前に出てくる大の里に送り出され、続く夏場所は離れた展開のままはたき込まれた。
大の里は同じ相手に負けない――。
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正確に言えば、負けない訳ではないが、負け続けることが極めて少ない。師匠の二所ノ関親方が「苦手を作らないのが一番」と指摘するように、常に優勝争いに絡むことが求められる横綱としては重要な資質だと言える。
大の里の大きな武器は…“相撲脳”
最も大きな理由は、若竹の勢いで実力を伸ばしていること。もう一つは修正力。相手ごとに適切な対策を練れているからだ。かつての指導者たちは、大の里の“相撲脳”について、こう口をそろえる。
「彼は頭が良いです。学校の勉強はそんなに得意じゃなかったかもしれないけど、地頭がものすごく良くて、1を聞いたら10を知るという感じだった」(日体大の斎藤一雄監督)
「負けた悔しさが彼の原動力ですよ。あんまり見せないですけどね。練習で何回も同じ負け方をする子が多いんですけど、同じ負け方をしない。学習能力が高いです」(新潟・海洋高の田海哲也総監督)
大の里は子供の頃から相撲を取るだけでなく、見ることも大好きだった。その積み重ねが知らず知らずのうちに勝ち筋を見出す感覚を磨いたのかもしれない。

