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「ハセガワ不在は痛手と思ったら」ブラジルに連敗なでしこジャパン“日本人が知らない”王国での高評価…監督も「日本の攻撃を耐え忍んだ」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2025/06/08 17:00

「ハセガワ不在は痛手と思ったら」ブラジルに連敗なでしこジャパン“日本人が知らない”王国での高評価…監督も「日本の攻撃を耐え忍んだ」<Number Web> photograph by JFA

ブラジル遠征で連敗を喫したなでしこジャパンだが、現地ブラジル識者の評価は高いようだ

「ブラジルが前線からの粘り強い守備とスピード溢れる攻撃で、日本の組織力を打ち破った。近年の対戦では出色の出来だった」

ブラジル監督も、なでしこをリスペクトしていた

 中2日で迎えた2戦目は、サンパウロ郊外の中都市ブラガンサ・パウリスタで行なわれ、8400人を超える観衆が詰めかけた。

 日本は先発メンバーを6人変更。右SBに高橋はなが入り、CBは19歳の古賀塔子と21歳の石川璃音の若手コンビ。アンカーは三浦成美が務め、MFが籾木と20歳の松窪真心。3トップの右サイドには、30日の試合でゴールを決めた清家が入った。一方、ブラジルはマルタが先発出場。観衆は大喜びで、彼女がボールに触る度にスタンドがどよめいた。

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 この試合で、なでしこは初戦とは見違えるようなプレーを見せた。特に前半は中盤を支配し、決定機を3度作ってブラジルを圧倒した。清家の際どいシュート、松窪のシュートはポストを叩くなどノーゴールの時間帯が続いたものの、後半開始直後に藤野が左サイドから絶妙のクロスを入れ、清家が右足で押し込んで先制点を奪った。

 しかしその後はブラジルが盛り返した。左CKをニアポストへ放つと、両チームの選手が密集したところGK山下杏也加のパンチングが空振り。危険を察知して咄嗟にゴール前へ戻ったCB石川璃音の体に当たってオウンゴールとなった。なでしこは勝ち越しを狙って攻撃を続けたが、清家のシュートがポストを叩くなど得点に至らず。逆にカウンターから失点して1-2で敗れた。

 この結果を、ブラジルの地元メディアはこう伝えている。

「ブラジルが“日本の弾丸列車”(注:スピードのある攻撃、の意味か)を止め、代表初出場FWの美しいゴールで逆転勝ち」

 ブラジルのエリアス監督も――日本にリスペクトを込めつつ――連勝という結果をこう話していた。

「拮抗した非常に難しい試合となった。それでも、選手たちが日本のスピード溢れる攻撃を耐え忍び、強い気持ちで逆転勝利を収めたことは高く評価できる」

 一方、なでしこのニールセン監督は「初戦で敗れた後、選手たちは気持ちを持ち直し、非常に勇敢にプレーしてくれた」、「内容的には、我々が勝っていておかしくない試合だった」とポジティブな評価を与えた。

ハセガワ不在は痛手…と思っていたんだけど

 そんな連戦について、日本の事情に詳しいブラジル人記者に聞くと――こんな本音を口にしていた。

「(コンディション不良で遠征不参加となった)長谷川唯がいないのは痛手かな……と思っていたんだけど、楽しみな若手がいるね」〈つづく〉

#2に続く
「監督も選手も超親切だった」なでしこジャパン取材ブラジル人記者が感激した“品格と質”「コガはまるでトミヤス」「セイケは“厄介”」

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