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「ハセガワ不在は痛手と思ったら」ブラジルに連敗なでしこジャパン“日本人が知らない”王国での高評価…監督も「日本の攻撃を耐え忍んだ」

posted2025/06/08 17:00

 
「ハセガワ不在は痛手と思ったら」ブラジルに連敗なでしこジャパン“日本人が知らない”王国での高評価…監督も「日本の攻撃を耐え忍んだ」<Number Web> photograph by JFA

ブラジル遠征で連敗を喫したなでしこジャパンだが、現地ブラジル識者の評価は高いようだ

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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なでしこジャパンは敵地でのブラジル女子代表戦で連敗を喫した。しかしブラジル監督や現地識者からは高い評価を得ているようだ。現地在住日本人記者がそのリアル評を伝える。〈NumberWebレポート/全2回。第2回へつづく〉

ブラジルは27年女子W杯開催国…強化が進む

 5月末から6月初めにかけて、なでしこジャパンが地球の反対側ブラジルへ弾丸遠征を敢行した(注:2023年末にも遠征しており、このときは1勝1敗)。片道30時間を超える長旅の疲労と12時間の時差を乗り越え、中2日で2試合を戦った。

 両国の現世界ランキングは、なでしこが5位でブラジルが8位。最近ではパリ五輪のグループステージで対戦し、ブラジルが先制したが、日本が谷川萌々子のスーパーゴールなどアディショナルタイムの2得点で劇的な逆転勝ちを収めた。しかしその後は、なでしこが準々決勝で敗退したのに対して、ブラジルは決勝でアメリカに惜敗したものの銀メダルを獲得した。

 ブラジルは、2027年ワールドカップ(W杯)の誘致に成功。パリ五輪での好成績もあって、国内では女子のフットボールに対する興味と関心が急速に高まっている。そんなチームにあっても、日本は警戒する相手の1つである。ブラジルのアルトゥール・エリアス監督の言葉からそれは伝わる。

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「日本は世界のトップチームの1つ。攻守にバランスが取れており、組織力が素晴らしい。新監督を迎え、今年2月のシービリーブスカップで優勝するなど、さらに強くなっている」

観客3万人超の第1戦「日本の組織力を打ち破った」

 5月30日の初戦は、W杯の主要会場の1つであるネオ・キミカ・アレーナ(サンパウロ)で行なわれ、3万3000人を超える観衆が詰めかけた。

 なでしこのニールセン監督は、現時点で一般的に考えられるであろうベストメンバーをピッチへ送り出した。4-3-3の布陣で、CBは熊谷紗希と南萌華。アンカーが長野風花で、MFが宮澤ひなたと谷川、トップが右から浜野まいか、田中美南、藤野あおばでキックオフを迎えた。

 前半、なでしこは藤野が左サイドから浜野が右サイドからチャンスを作ったが、田中が厳しいマークを受け、なかなかシュートを打たせてもらえない。逆にブラジルのカウンターを浴び、19歳のドゥジーニャに2ゴールを許してハーフタイムを迎えた。

 後半に入ると藤野のミドルシュートがバーに弾かれる逸機があったが、前半同様、ブラジル選手のパワーとスピードに苦しんだ。そして、後半にも1点を追加される。ブラジルは、後半途中から名手マルタがピッチに立ち、スタンドが大いに沸いた。マルタは、過去、世界年間最優秀選手に6度選ばれているレジェンドだ。パリ五輪後、一度は代表からの引退を表明したが、その後、翻意してこの試合で復帰した。

 なでしこは、試合終了間際に敵陣でボールを奪い、籾木結花からの縦パスを受けた清家貴子が蹴り込んで1点を返すのがやっとだった。

 試合を中継した地元テレビの解説者は、こうコメントした。

【次ページ】 ブラジル監督も、なでしこをリスペクトしていた

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