NumberPREMIER ExBACK NUMBER

“じつは捕手だった2000安打の大打者”和田一浩が明かす松坂大輔の「わかっていても、あえて真っ直ぐ」…今も脳裏に残る痛恨の一発とは? 

text by

赤坂英一

赤坂英一Eiichi Akasaka

PROFILE

photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/06/18 06:00

“じつは捕手だった2000安打の大打者”和田一浩が明かす松坂大輔の「わかっていても、あえて真っ直ぐ」…今も脳裏に残る痛恨の一発とは?<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

捕手としてプロ入りし、のちに外野手に転向した和田一浩。打者に専念して通算2050安打を記録した

「伊東さんのリードを見ていると、『え、このカウントでそこへいくの?』と驚いたことが何度もあった。というのは、捕手は相手と戦う前にベンチと戦わなければいけない。例えば、0ボール2ストライクから打たれるのはご法度で、監督やコーチにこっぴどく怒られる。そのため、若い捕手ほど無難にリードしようと、追い込んだら1球外す。そういう時、伊東さんはスパッと3球勝負にいけるんですよ。それだけの根拠、自信、経験があるから、打たれても何も文句を言われない。そういう格の違いをまざまざと見せつけられました」

エース松坂と開幕スタメンマスクに抜擢

 球団には1年目から「野手になって打撃に専念しては」と勧められていた。それでも「捕手で勝負したい」とこだわった和田の希望を、当時の東尾修監督は受け入れてくれる。そして、和田は5年目の2001年、エース松坂大輔とのバッテリーで念願の開幕スタメンマスクに抜擢された。

「やっとか、と思いました。それまでスタメンがなかったし、開幕戦となるととても名誉なことですから。あの頃の大輔はとにかく、真っ直ぐが速くて、強かった。相手がいい打者であればあるほど燃えて、真っ向勝負を挑む。とくに中村紀洋との対決では変化球を投げたがらなかった。大輔が首を振ったら真っ直ぐ。ノリに待たれているのも真っ直ぐ。わかっていてもあえて真っ直ぐで勝負する。僕もそれが面白かった」

今も脳裏に残る逆転サヨナラの一発

ADVERTISEMENT

 今も和田の脳裏に残るのは、優勝を争う近鉄と激突した'01年9月24日、大阪ドームでの決戦である。6対5と1点リードの9回2死一塁、中村にカウント2ボールから松坂のカットボールを捉えられ、逆転サヨナラ2ラン本塁打を浴びた。

 帰りのバスの中で、和田は泣いた。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の《秘話》大打者が捕手だった頃…和田一浩が語る松坂大輔の「あえて真っ直ぐ」と、小笠原道大が語る「落合博満さんの移籍」<連続インタビュー>で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

Number1121号「名捕手の思考法。」*書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

関連記事

BACK 1 2
#和田一浩
#埼玉西武ライオンズ
#中日ドラゴンズ
#伊東勤
#松坂大輔

プロ野球の前後の記事

ページトップ