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〈マンガ〉「い、いちごも千日手」名人・藤井聡太に挑み続ける永瀬拓矢が達成…じつは将棋界初の快挙とは「羽生善治&佐々木勇気とも共闘!」
posted2025/06/02 17:10
5月の将棋ハイライト。各種イラストは関連記事などからご覧になれます!
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千田純生JUNSEI CHIDA
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日本将棋連盟/Junsei Chida
これぞ藤井将棋……という一夜から数日、夏を告げる棋聖戦が開幕を迎える――盛況の将棋界ですが、5月のハイライトをイラストで見ていきましょう!
1)藤井名人3連覇…永瀬将棋の執念と千日手(いちご)
第83期名人戦、5月29日と30日に茨城県古河市で行われた第5局、藤井聡太名人(竜王、王位、王座、棋聖、棋王、王将と合わせて七冠)が永瀬拓矢九段に勝利して、名人位3連覇を達成しました! 藤井名人が終盤の優位を完璧に指し回し、永瀬九段を投了に追い込んだ第5局の終局時間は23時16分。対局者も関わった皆さまも深夜までおつかれさまです……。
今期の対局結果は藤井名人から見て4勝1敗2千日手。第4局と第5局と2局連続で成立した「千日手」が今期名人戦の大きなトピックスとなりました。
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千日手は1つの対局で同じ局面が4回繰り返されることで、起きた際には先後を入れ替えて指し直し局となります。「スポーツで言う引き分け扱い、と捉えるとわかりやすいですよ」とは編集担当さんから以前聞いた話でしたが、名人戦において2回の千日手が発生したのは、過去4例目だそうです。
「千日手に関しては将棋ファンの中で議論されてきた歴史があるそうですが、ABEMAの2日目の解説を務めた増田康宏八段の言葉通り、AI研究が進む現代将棋の中で今後増加していくのかもしれません」(編集担当さん)
なるほど。とはいえサッカーなど〈勝てなかったのは悔しいけど、いい内容の引き分けだったなあ〉という試合がスポーツでもあります。観る将側としてみれば内容の詳細は分からずとも、棋士それぞれが頭脳をフル回転した結果が千日手と捉えれば――そこにまたドラマ性を感じます。
千日手と言えば、永瀬九段のおやつも……。
・第4局2日目のおやつ=いちごモンスター、ゴロゴロ苺のミルキーシェイク、宇佐産いちごスムージー、
・第5局の1日目昼食=こがくらふとあいす&(ミルク・イチゴ)
・第2日午前のおやつ=いちごの森のいちごスムージー(2杯)
「なんというか、いちご千日手ですね(笑)」
編集担当さんも驚きの一手の連続でした。その他にも「まんまるメロンソーダ」を連続注文したり、さらにはいちごを記録係にあげるシーンがあり、ホッコリする一方で……永瀬九段が1勝を返した第4局はもちろんのこと、第5局の指し直し局もAIが示す評価値は終盤まで50%前後を推移し、第5局も永瀬九段に評価が触れる時間帯がある大熱戦でした。
結果を伝えるニュースでは、どうしても“藤井名人3連覇”という見出しが目立ちがちですが――絶対王者に対してタフに戦い続ける永瀬将棋の凄みも、ぜひ多くの人々に伝わってほしいと願います(感想戦でとても楽しそうに将棋を振り返る姿も)。王位戦で再び藤井将棋に挑戦する永瀬九段、盤上でも盤外でもどんなタフネスと執念を見せてくれるんでしょうか。
2)永瀬九段が達成“じつは竜王戦で初の快挙”とは
さてその永瀬九段ですが、竜王戦でも快挙を達成しています。



