プロ野球PRESSBACK NUMBER

「冷たい人…実はそう思っていました」井上一樹監督が明かす「監督になって分かった」“落合流”の凄み…中日再建へ背中を押した立浪和義の言葉 

text by

佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/06/02 11:05

「冷たい人…実はそう思っていました」井上一樹監督が明かす「監督になって分かった」“落合流”の凄み…中日再建へ背中を押した立浪和義の言葉<Number Web> photograph by JIJI PRESS

優勝パレードでファンの声援に応える落合博満監督と井上一樹選手会長

 落合監督の姿は、井上監督の中の指揮官像にどのような影響を与えたのか。

「星野さんの指導を目の当たりにしてきた自分にとってはある意味、正反対の監督でした。熱い感情を表に出すこともないし、いつも冷静な顔をして何を考えているかわからない。落合さんのことを冷たい人だと言う人は多いと思うし、現役時代の僕も実はそう思っていました。正直、ベテランとして冷たい扱いをされたこともある。でも振り返ってみると学びになったことは沢山あるんですよ」

監督になって分かった“鉄仮面・落合”の凄み

 就任8年間で4度の優勝に導いた鉄仮面の将の凄みは、むしろ指揮官となった今こそ実感しているのだと明かす。

ADVERTISEMENT

「落合さんが常に考えていたのは、勝つために何が必要かということ。そのために今何をすべきか決断していた。言葉にすると簡単ですが、実際にやるとなるとこれは物凄く難しい。この立場になってみると、自分は情に流されてああいう判断はできないよな、と感じます」

 無二の恩師と慕う星野仙一は、常に勝負に熱い炎を燃やし、喜怒哀楽をぶつけながらチームに深い情を注ぎ込んだ。一方で最後に仰いだ指揮官・落合博満は、時に冷徹な顔を見せながらも勝負に徹し、勝つことでその存在感を絶対にした。情熱と冷静。二人の指揮官の“顔”を近くで見続けたことは、今も井上監督の大きな財産だ。

「星野さんと落合さんはある意味、両極端でしたからね。自分が同じことができるのかというと、そうは出来ない。でも近づこうとする努力はできないこともないのかな、とは思います。基本は自分らしく、でも色々な師を見てきていいことは取り入れたいし、学びから得たものはこれからも大事にしていきたいと思っています」

背中を押した立浪前監督の言葉

 もう一人、監督就任に背中を押してくれた存在がいる。立浪和義・前監督である。現役時代からの“兄貴分”は、井上監督が人生の選択に迷った時、いつも助言を仰ぐ存在だという。2019年オフに当時の阪神・矢野燿大監督からコーチ就任の打診を受けた時もそうだった。

【次ページ】 「よく“人たらし”だと言われますけど…」

BACK 1 2 3 NEXT
#中日ドラゴンズ
#井上一樹
#落合博満
#立浪和義
#星野仙一

プロ野球の前後の記事

ページトップ