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「藤井聡太17歳も…初タイトルが10人以上」棋聖戦の“意外と知らない”歴史ウラ話「フジテレビ創業者が熱烈な升田幸三ファンで」

posted2025/05/31 11:00

 
「藤井聡太17歳も…初タイトルが10人以上」棋聖戦の“意外と知らない”歴史ウラ話「フジテレビ創業者が熱烈な升田幸三ファンで」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

第91期棋聖戦第4局に勝って、自身初かつ史上最年少となるタイトルを獲得し、笑顔で記者会見する藤井聡太棋聖

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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藤井聡太棋聖(22歳)に杉本和陽六段(33歳)が挑戦する棋聖戦は、今期から“賞金総額5000万円”への増額で話題だが、これまでどんな歴史を紡いできたか。田丸昇九段が紹介する。〈文中敬称略。棋士の肩書、年齢はいずれも当時/全2回。第2回につづく〉

 ヒューリック杯棋聖戦を主催する産経新聞社と特別協賛のヒューリック(不動産会社)は4月22日、優勝賞金を4000万円に増額すると発表した。最高棋戦である竜王戦の優勝賞金の4400万円に次ぐ高額だ。さらに棋聖を獲得すると、ヒューリックから特別賞として1000万円を贈られ、実際の獲得額は5000万円となる。これは藤井聡太棋聖(22)に杉本和陽六段(33)が挑戦するヒューリック杯第96期棋聖戦五番勝負から適用される。優勝賞金が大幅に増額された背景、63年前の1962年に創設された棋聖戦の成り立ちと棋戦方式とは――。

大谷さんと藤井七冠…収入面に差がありすぎる

 棋聖戦を特別協賛するヒューリックの西浦三郎会長は「今の明るい話題は、大谷翔平さんと藤井聡太七冠だが、2人は収入面で差がありすぎる。将棋の発展のため、次の若い世代を育てるため、賞金増額を考えた」と、4月22日の記者会見で語った。

 藤井は2023年10月に「八冠制覇」を達成し、23年の獲得賞金・対局料ランキングで1位の約1億8600万円を獲得した。これは羽生善治九段(54)が1995年に獲得した約1億6600万円を超えて最高額となった。

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 一方で、アメリカの経済紙『フォーブス』が発表したアスリートの長者番付(24年5月1日~25年5月1日までの給与、賞金、スポンサー収入など)では大谷は9位の約149億6500万円。世界のプロスポーツの獲得額は突出している。

 将棋界ではタイトルをすべて獲得しても総額が2億円に満たない現状について、「偉大な実績の割に少ない」と思った方は多いだろう。将棋連盟の主要財源となっているタイトル戦などの棋戦契約金が、新聞業界の低迷で頭打ちになっているからだ。今後は、ヒューリックのような特別協賛金の増額によって、獲得賞金の水準が上がっていくことに期待したい。

棋聖戦…じつはフジテレビ創業者が立ち上げた

 さてそんな棋聖戦は、どんな経緯で生まれたのか。

【次ページ】 升田のタイトル獲得を願った“1日制”

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