井上尚弥も乗せられた？ 「気持ちが攻撃に振り切れてしまう」米国でのファイトを最も知る男・亀海喜寛が見た井上戦「歓声が日本と段違いなので」 

アメリカで支持されるボクサーとは？

「カルデナス選手の左フックは本当に脅威でした。井上選手は2ラウンドにダウンをしても、攻めの姿勢を貫きましたよね。もらわないようにもっとフットワークと左のリードジャブを使ってというボクシングができるのに、敢えてそれをやらなかった。気持ちは強いのに、一方で冷静にというところが井上チャンピオンの場合は抜け落ちていない。動きが良くてその後は被弾もなく、良い内容でした。

　アメリカのボクシングファンというのは気持ちを見せたうえで、自分からアクションを起こしていくボクサーを支持する傾向にあります。自分が応援する選手ばかりじゃなく、相手が良かったらそれでも盛り上がる。まさに今回の試合はそうだったんじゃないですか。

　一方的に勝つのではなく、ダウンを奪われてから逆に圧倒していくドラマ性も観ている人たちの心を掴んだようにも感じます。シンコ・デ・マヨに、日本人ボクサーがメキシコ系のチャンピオンに挑戦する“Bサイド”じゃなく、むしろ主役の“Aサイド”にいるだけでもかなり異例。それほど井上選手への注目度が高かったのでしょう」

一度はダウンを奪われてからよみがえったドラマ性もアメリカのファンの心をつかんだのでは、と亀海は見た　©Getty Images

“Bサイド”の矜持を知る男

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　高い期待値に応えようとしたからこそあれほどの興奮がT-モバイルアリーナに渦巻き、「イノウエ」が叫ばれた。カルデナスという“Bサイド”が光ったからこそ、“Aサイド”がより輝きを放ったとも言える。

　亀海はアメリカにおいて“Bサイド”側のボクサーだった。

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