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「やっぱり縁があったから…」高校駅伝で話題の“集団転校”…転校して“来られた側”の経験者が「都大路で初出場・初優勝」を経て伝えたいこと
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和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/05/19 06:02
昨年12月の全国高校駅伝で準優勝した福岡・大牟田高のエース、本田桜二郎。4月からは鳥取城北高に転校し、すでに好走を見せている
当時を振り返り苦笑するが、実際にアンカーの皆浦さんは5kmのビクトリーロードを淡々と走り、タスキをフィニッシュ地点に運ぶだけだった。
こうして豊川高は全国の舞台でも圧勝劇を演じた。初出場校が初優勝を飾るのは、実に50年ぶりのことだった。
レギュラー7人中5人が「転校組」…賛否も
優勝メンバーのうち皆浦さんとズクを除く、7人中5人が仙台育英高からの転校生だった。そんな事情もあり、世間には賛否が巻き起こり、称賛する声ばかりではなかったのも事実だった。それは皆浦さんら走った選手たちも重々承知している。それでも、全国の頂点に立ったことを選手たちは素直に喜んだ。
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「自分たちは全国優勝のために頑張ってきたので、もちろんうれしかったです。駅伝って、意外とチーム力なんだなっていうのは、やっていて思いましたね。失敗する区間があればその他の区間でカバーし、先頭でタスキをもらうと、ガンガン行けてしまう。自分も、トップでタスキをもらって、独走で楽しく走れました。
結局、強い選手が加わっても、チームとしてまとまっていなければ勝てはしなかったと思うんです。ちゃんとチームがまとまることができたことが、全国優勝できた一番の要因だったと思っています」
皆浦さんがこう言葉にするように、自分たちで掴んだ勲章なのだ。
ただ、指導者の胸の内は選手たちとは同じではなかったかもしれない。
「良かったのか、悪かったのか。僕の口からは言えない。それを言えるのは、これだけに懸けてきた選手たちだけです」
言葉を選んで話した森安彦監督のこんなコメントが印象的だった。

