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「あまり悲しまないでよ」内藤哲也42歳“新日本プロレス退団”の衝撃…ヒザの爆弾、視力にも異常“満身創痍だった制御不能男”はどこへ向かうのか?
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/05/08 18:39
入場しポーズを決める内藤哲也。5月4日、福岡国際センター
「またお会いできるその日まで、アディオス」
5月4日の福岡。8人タッグマッチに勝利した後、内藤は記念写真には納まったが、マイクを握ることはなかった。その後のセミファイナルで辻が上村を破りIWGPグローバル王座の防衛に成功した後、内藤は再び花道を歩いてリングに入った。LIJのメンバーがリングに並んだ最後の時だったが、ここでも内藤はマイクを手にすることはなかった。ただ、バックステージではこんなことを言っていた。
「わかんないよ。次のシリーズもフリーとして、またいるかもしれないからね。だから、あまり悲しまないでよ。次のシリーズ、その次のシリーズ、来年、再来年、いつかわかんないけどさ、新日本のリングかどうかもわかんないけど、またどっかで会えるでしょう。そのときを楽しみにお待ちください。じゃあ、またお会いできるその日まで、アディオス」
IWGP世界王座2回。IWGPヘビー級王座3回。IWGPインターコンチネンタル王座6回。『G1 CLIMAX』優勝3回。プロレス大賞MVP4回。
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そんな内藤哲也が新日本プロレスを去った。
BUSHIも思いを話した。
「13年前、この新日本プロレスのリングに全日本プロレスから移籍して、所属になって長くキャリアを過ごしたよ。特にこのLIJになってから、本当に濃かったな。内藤哲也がいたからな。内藤の決断に、オレも合わせて退団を決めた。オレのプロレス人生を変えたのは内藤哲也。だからこの決断に悔いはない。今日でLIJは、まあ形上、終わってしまうけど、オレの中ではこの先もずっと続いてくよ。オレは別に今日で引退するわけじゃないからさ。体だって元気だしね。自分の手でプロレスラー人生の、残り少ない、あと何年やるかわかんないが、その砂時計を自分の手で引っくり返したつもり。これからも楽しくやってくつもりだよ」
「ゲイブ、見せてやろうぜ、オレたちの新日本プロレスを」
辻は自分を月、上村を太陽に例えた言い回しでライバルとの戦いに臨み、味のある試合を見せた。最後は辻がスピア・タックルであるジーンブラスターを炸裂させ勝利をもぎ取った。
「オレはIWGP GLOBALチャンピオンだ。この後もセルリアンブルーのリングで戦い続ける。幸運なことにオレには上村という最高のライバルがいる。なあ上村、わかってるだろう、オレとお前の戦いは、これでは終わらない。もしお前が、これで終わりだと思っているなら、お前は太陽にすらなれない」



