ヤクルト「1995年だけの左腕エース」山部太の伝説…愛媛のソフトボール少年がセンバツ優勝宇和島東を倒してドラフト候補も「プロには興味なかった」 

ドラフト1位のプレッシャーも…

　1988年の川崎憲次郎から、西村龍次、岡林洋一、石井一久、伊藤智仁とヤクルトのドラ1ピッチャーは毎年当たっていた。即戦力として期待された山部はルーキーイヤーの1994年、イースタンの西武戦でノーヒットノーランを達成するなどして一軍に昇格したものの、わずか1勝に終わる。

「プロはストライクゾーンが小さくて、そこにまず戸惑いましたね。際どいところがボールになるので、最初の1年はその壁にぶち当たりました。元々コントロールがいいわけじゃないからなおさらでした。

　だったら自分の場合、力をつけて得意とするストレートを磨いていくしかない、と。ドラフト1位のプレッシャーも、やっぱりありました。歴代みなさん活躍されていて、前年の（同学年の）伊藤は新人王も取っていましたから」

快進撃の予兆

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　持病の腰痛も再発して、思うような1年にはならなかった。山部はオフを返上して走り込みとウエイトトレーニングを徹底的にやり込んでいく。腕をしっかり振ってストレートを武器にしていくには、強くて安定した下半身をつくる必要があると己に言い聞かせた。体の変化は春季キャンプから感じ取ることになる。

「自分らしい真っ直ぐのボールを評価されて（ヤクルトに）入ったのに、投げられなくて苦労したのが1年目。まずはそこだと思って取り組んで、ようやく思うようなボールを投げられるようになってきて、球速も2〜3km上がったんです。開幕前からある程度、手応えは感じていました」

　山部の快進撃が始まろうとしていた――。

〈全3回の1回目／つづきを読む〉

#2に続く

「野村克也監督がマウンドに走ってきた！」“どえらい状況”に大焦り…“vsイチロー”シリーズで快投！ ヤクルト山部太「最高の1年」秘話

#3

「140kmも出なくなって…」95年ヤクルト“最強ローテ”の山部太がサイドスロー転向で見せた意地…1年だけの輝きの後に「細く長く、よくやったな」

#2

「野村克也監督がマウンドに走ってきた！」“どえらい状況”に大焦り…“vsイチロー”シリーズで快投！ ヤクルト山部太「最高の1年」秘話

#1

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