ヤクルト「1995年だけの左腕エース」山部太の伝説…愛媛のソフトボール少年がセンバツ優勝宇和島東を倒してドラフト候補も「プロには興味なかった」 

「（予選前に）腰を痛めて何カ月か練習できていなかったんです。東京まで出ていって病院で診てもらったら“しばらく野球は無理”と言われてしまって。鍼治療とかして、ほぼ練習なし、ぶっつけ本番で（大会に）臨んだんですよ。マメも固まってないから、試合中に破けてしまって。僕は4失点していますし、みんなに助けられた試合でした」

　奮闘するエースを助けようと10回表に2点を奪う。その裏、山部は1死満塁となりながらも何とか抑えて見事、雪辱を果たしている。

　マメが破け、200球近い熱投だったこともあってもはや力は残っていなかった。松山商業との決勝戦は0-10の大敗。山部の夏が終わった。

逆指名制度ができてプロ入りを決断

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　準優勝した県予選での活躍もあって将来性のある大型サウスポーにプロ11球団から指名挨拶があったという。だが持病の腰痛もあって社会人野球のNTT四国に入ることを決める。先輩に西川慎一、同期には西山一宇と、のちにプロで活躍するピッチャーと切磋琢磨しながら山部は左のエースとして名を上げていく。

　そして“逆指名制度元年”となった1993年のドラフトにおいてチャンピオンチームのヤクルトに1位で入団した。

1993年、前年度の日本シリーズで激闘の末西武に敗れた借りを返し、日本一となったヤクルト　©Masato Daito

「社会人で全日本に入っても、プロに行きたいとまではあんまり思っていなかったんです。でも逆指名制度ができて、自分で（球団を）決められると。福岡ダイエーのスカウトの方が本当に熱心に通ってくれていたんですけど、僕は高校でも社会人でも優勝経験がなかったので、この年も優勝して2連覇する強いヤクルトに行きたいと思ったんです」

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