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朝倉未来が“両者流血のTKO勝利”で見せた必死さ…『RIZIN男祭り』鈴木千裕戦直後の「全然楽しくないですよ」発言、3連敗からの復活劇はなぜ生まれたか? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2025/05/05 17:06

朝倉未来が“両者流血のTKO勝利”で見せた必死さ…『RIZIN男祭り』鈴木千裕戦直後の「全然楽しくないですよ」発言、3連敗からの復活劇はなぜ生まれたか?<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

5月4日のRIZIN男祭りで対戦した朝倉未来と鈴木千裕

朝倉未来「逃げたことないんで」

 背中を押してくれたのは、ファンの歓声、声援だったという。

「自分のためにと思っても、歓声を聞くと“みんなのために”となっちゃいますね。だからこれからは歓声なしで」

 そんな言葉が出るくらい、気持ちが高揚したということだろう。RIZINの榊原信行CEOは「今回は千裕の男気に甘えてしまった」とコメントしており、万全なコンディションではなかったことがうかがえる。鈴木自身は「みんな100パーセントじゃない。それが勝負だから仕方ない」と言い訳をしなかったが、これからは「ちょっと休みますね。いや、しっかり休みます」とも。

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 対戦カードから何一つ予定通りにはいかなかった。そんな中で、朝倉は自分がやるべき仕事を全うした。連敗を脱出したことで、これからやるべきことも見えてきた。

「平本とはもう一回やったら勝てる。自信ありますね」

 朝倉の試合の直後、メインイベントではフェザー級の王座交代劇が起きた。朝倉も鈴木も敗れているクレベルを1ラウンドで倒したのはキルギスのラジャブアリ・シェイドゥラエフ。昨年6月のRIZIN初参戦以来、4戦全勝でチャンピオンになった。プロキャリア全体では14連勝、かつオール一本・KO勝利という凄まじい強さだ。前戦で敗れた久保優太は「真面目にクマに襲われたんじゃないかって……」とその猛威を表現している。

 今回は「最初は打撃で攻めて、途中から寝技にもっていこうと考えてました。でも打撃で試合が終わってしまった」と予想外の勝ち方だったことを明かしたシェイドゥラエフ。それをRIZINのタイトルマッチでやってしまうのだ。とんでもないものを見てしまったというのが正直なところ。朝倉未来の行く道、その頂点にはこんなヤバいヤツがいるのか……。

 ただそれでも、シェイドゥラエフ戦への意欲について聞かれると「全然あります」と朝倉。

「よくアンチとかが“誰々から逃げるな”って言うんですけど、逃げたことないんで」

 今回の勝ちは3連敗からの1勝。けれどその1勝で、さまざまな可能性が生まれた。満員の東京ドームから“朝倉未来のいるRIZIN”が再び始まったのだ。

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#朝倉未来
#鈴木千裕
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