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「メジャーで通用しない」評が激変…菅野智之35歳を大物メジャーOBが“異例の絶賛”「なぜMLB打者はスガノを打てない?」球速は平均以下も…「芸術的だ」 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2025/05/03 06:02

「メジャーで通用しない」評が激変…菅野智之35歳を大物メジャーOBが“異例の絶賛”「なぜMLB打者はスガノを打てない?」球速は平均以下も…「芸術的だ」<Number Web> photograph by Getty Images

オリオールズ菅野智之35歳。スピードに頼らないその投球がアメリカで注目されている

“パワー全盛”メジャーで異色

ジラルディ「スガノの投球モーションを見てほしい。左腕を伸ばしてためてから素早く腕を振るけど、終始スムーズに動いている。彼のボディバランスは素晴らしいね。常に打者の方向を向いている。だから制球があれだけ素晴らしく、ストライクを次々と投げられる」

コーン「投球モーションに入ってからボールをリリースするまでに自在に体を操れている。モーションのフィニッシュが地面にソフトに着地するんだけど、それが、彼がいかに自分をコントロールできているかを物語っている」

ジラルディ「前回、前々回の登板では7回まで投げるという、チームの他の投手が誰もできない仕事を果たしている」

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コーン「試合を作る能力が高いというのは、日本での評判そのままだね」

ジラルディ「彼の昨季の日本での成績を見たら、24試合に登板して、そのうち23試合で3失点以下、残りの1試合が4失点だった。彼がマウンドにいる限り、負ける気がしないよね。そして今季メジャーでも、ここまで登板した試合すべてで3失点以下に抑えている」

ジラルディ「(日本で)MVPに3度輝き、サイ・ヤング賞に匹敵する最優秀投手賞に2度輝いているよね。一番驚くのは、2014年にMVPになって、その10年後にまたMVPを獲得していることだ。これはなかなかできることではないし、アメージングだよ」

コーン「投げる1球1球に明確な狙いが感じられる。昔気質のスタイルというか。今の投球はストライクゾーンを力の限りのパワーで攻めるスタイルが主流だからね。彼のピッチングは芸術的。行ったり来たり、裏と表という投球だ」

「35歳なのにトミー・ジョン手術もゼロ」

 菅野を絶賛しながら鋭い分析が多くちりばめられた2人の会話は、実に引き込まれるものだった。米国では菅野が35歳まで一度もトミー・ジョン手術を受けていないことにも驚かれているが、これも2人が指摘するように卓越したボディバランスのたまものなのだろう。この中継で実況を務めた名物アナウンサーのマイケル・ケイも「スガノのように、MVPに値するシーズンを送った翌年にメジャーにきた日本人選手はなかなかいない。35歳で、日本でできることはすべて成し遂げたから、メジャーに挑戦。日本で所属したヨミウリ・ジャイアンツは言ってみれば日本のヤンキースのような球団だ」と語り、興味津々の様子だった。菅野が投げている回のほとんどを菅野の話題で占めていて、敵チームの中継テレビ局の実況としてはかなり異例の扱い。35歳オールドルーキーの快進撃は、それだけのインパクトを持っている。

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