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「2年前までUberEatsの配達員」井上尚弥に挑む29歳ラモン・カルデナスの壮絶ボクシング人生「お金がなかった…でもジム通いはやめなかった」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byMikey Williams/Top Rank
posted2025/05/01 11:03
井上尚弥への挑戦権を得たラモン・カルデナス(29歳)。生活に苦労しながらも、着実にキャリアを積み上げてきた
――最近の練習場所はカリフォルニアで、ムロジョン・アフマダリエフと同じジョエル・ディアス・トレーナーの指導を受けているんですよね?
RC その通り。以前はサンアントニオで練習していたが、2023年10月以降、カリフォルニアでディアス・トレーナーの元でトレーニングを続けている。イノウエ戦がディアスとコンビを組んで4戦目になる。
――仰る通り、2023年以降、あなたは一気に階段を上がってきました。井上戦も決まり、今ではもう副業はこなしていないんでしょうか?
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RC その通り、生活は以前ほど苦しくはなくなった。おかげで今はボクシングだけに集中できている。それでもこれまでの思いを忘れたことはないよ。ボクシングのキャリアでも、人生でも、浮き沈みがあったことに感謝している。夜遅くまで仕事をしなければならなかった日々、朝早く起きて走り、その後にまた仕事に行かなければならなかった時期がなかったら、イノウエのような王者に挑む今の私は存在していなかっただろうから。
――そう思える理由はどこにあるのでしょう?
RC 楽にうまくいっている時は、多くの人が「これでいい」と思ってしまいがちだ。「もっと頑張らなければ」という感覚がないため、モチベーションを失ってしまうんだ。でも私は、ずっと何かを成し遂げなければならないと感じていた。一生、Lyftの運転手を続けたくはないから、ボクシングで何とかしなければならなかった。だからこそ、ここでリスクを背負い、イノウエ戦という大きなチャンスにかける気になったのだろう。
――それほどの覚悟を背負って臨む5月4日の一戦。あなたの人生はまた変わると信じていますか?
RC そう願っているよ。全力でトレーニングするつもりだ。イノウエとの戦いが簡単な試合にならないことは分かっている。厳しい試合になるだろう。人生で最も厳しい戦いになるのかもしれない。ただ、覚悟はできているし、準備も整っている。世界を驚かせたい。世界に衝撃を与えることが今の私の目標なんだ。
〈全2回/前編からつづく〉


