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“青マルケス”ことアレックスが苦節94戦目の初勝利! ヤマハのクアルタラロも560日ぶり表彰台で「ドゥカティ1強」に変化の兆し
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遠藤智Satoshi Endo
photograph byGetty Images
posted2025/04/30 17:06
スペインGPでMotoGPクラス初勝利を遂げたアレックス・マルケス(前)と、久々に2位表彰台を獲得したファビオ・クアルタラロ
クアルタラロは2位フィニッシュ。3年ぶりの優勝達成とはならなかったが、スプリントの転倒というミスを取り戻す表彰台獲得にヤマハのピットは大いに沸いた。21年シーズンにクアルタラロがタイトルを獲得して以来、チャンピオン争いから遠ざかっていたヤマハ陣営としては、これまでの苦労が報われる一戦となった。
ヘレス・サーキットではこの数年、安全性を高めるためにセーフティゾーンの拡大工事が続けられている。それにともない観客スタンドの増築も行われ、観客数は増加の一途をたどっている。今年も決勝日は10万人以上の大観衆を集め、パドックの関係者の中では「今日は“赤マルケス(赤いドゥカティに乗るマルク)”がダメだったけど、“青マルケス(青いドゥカティのアレックス)”が優勝したね」と言われるほどマルケス兄弟が大活躍。初めて首位に立ったアレックスを1ポイント差でマルクが追うという、地元スペインのファンにとってはたまらない展開となった。
MotoGP戦線に現れた変化
今季は開幕からマルクが所属するドゥカティ・ワークスを中心にドゥカティ勢が圧倒的な強さを発揮してきたが、この数戦はホンダとヤマハも上位に進出。さらにここに来て、24年型ドゥカティで戦うサテライトチームのアレックスが優勝するなど、目新しい話題が増えた。
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コンストラクターズポイントではドゥカティの1強が続いているが、今大会の活躍でヤマハが一気に2位に浮上。ドゥカティばかりが強い状況に変化の兆しが見える。ヤマハ以下のランキングでも、3位KTM、4位ホンダ、5位アプリリアまでが9ポイント以内で鎬を削る状況となっており、ドカティの独走に待ったがかかるのも間近かもしれない。
過去を振り返れば、オートバイレースは大きな技術革新の中で変化を遂げてきたが、その中心的存在は常に日本メーカーだった。


