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「結婚しないなら別れて」“中日クビ危機”山崎武司が覚醒した現妻の最後通告…「ユニホーム着させねーぞ!」星野監督は20キロ減量令

posted2025/06/08 11:02

 
「結婚しないなら別れて」“中日クビ危機”山崎武司が覚醒した現妻の最後通告…「ユニホーム着させねーぞ!」星野監督は20キロ減量令<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1996年の山崎武司。94年頃は戦力外もちらついていたが、結婚を機に覚醒を果たした

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間淳

間淳Jun Aida

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中日OB山崎武司氏が味わった“闘将・星野”の凄まじさを筆頭にした現役時代、打ち明け話のつづきです。〈NumberWebインタビュー/全4回。第4回につづく。敬称略〉

結婚するつもりがないなら、別れて

 プロの世界は入れ替わりが激しい。毎年ドラフトや移籍で新しい選手が加入し、その裏で競争に敗れた選手は去っていく。

 山崎武司もプロ6、7年目からは、戦力外通告の危機感と隣り合わせだったという。

「二軍で結果を残して一軍に上がっても、一軍の壁に跳ね返されて二軍に戻るの繰り返し。そろそろ、やばいなとクビになる怖さがありました。二軍でタイトルを獲っても、一軍のタイトルなんて自分には無縁。他人事だと思ってみていました」

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 来年はユニホームを着られないかもしれない。不安な気持ちはプライベートにも表れた。山崎は20歳の頃から、現在の妻・寿代さんと交際していた。山崎が26歳の時、4歳年上の寿代さんから“最後通告”を受けた。

「結婚するつもりがないなら、別れてほしい」

 寿代さんが自分と結婚したい気持ちを持っていると知った山崎はうれしかった。ただ、それ以上に不安が押し寄せた。

「いつクビになるか分からない状況で、幸せにできる自信がありませんでした。戦力外になったら苦労させるのは目に見えていますから」

 一軍に定着する自信はない。だが、この先も大切な人と一緒にいたい。希望を叶える方法は1つしかなかった。一軍で活躍して、寿代さんを幸せにする。山崎は腹をくくった。プロ8年目の1994年オフ、2人は結婚した。

 危機感と責任感を高めた山崎は結婚した翌年、一軍で66試合に出場して16本塁打を放った。自身初の2ケタ本塁打を記録し、「何かつかめた感覚がありました。来年は目標にしていた背番号と同じ22本に届くかもしれない」と手応えを得てシーズンを終えた。

20キロ落とせ。ユニホーム着させねーぞ

 ところがこの年のオフ、チームに激震が走る。高木守道監督が退任し、“あの男”の再登板が決まったのだ。

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