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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「すごく燃える」中谷潤人が明かす西田凌佑との王者統一戦への思い…来たるべき井上尚弥戦については?「何より自分自身が楽しみなんです」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/04/19 17:15
WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(30戦30勝23KO)が語る王者統一戦の思いとは?
「井上選手は大きな舞台でハイパフォーマンスをしてきたボクサー。リスペクトする気持ちはもちろん凄く持っています。その選手を倒したいという気持ちに今はなってきていることは間違いありません。最初のころは自分と井上選手が(戦う)となっても、周りは“えっ”みたいな(否定的な)見方だったと思うんです。段々と階級が近くなって、自分も一つひとつ勝っていくなかで、段々と戦う雰囲気になってきました。盛り上がっていけばいいし、何より自分自身が楽しみなんです」
かつて井上の凄さについて「1ラウンド中に相手との距離を把握できてしまう能力がある。自分はまだ時間が掛かる」とも語っていたが、その能力を自分でも備えることができるようになった。引き出しの多さ、相手の嫌がるところを見抜いて突くという点も共通するところだ。
井上が1月に行なったキム・イェジュンとの一戦も「自分が戦うならどうか」を考えながら見たという。
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「キム選手が左構えで戦ったのでイメージしやすかった部分はあります。井上選手は攻防の両方が高いレベルにあるし、もちろん難しい相手だということは分かっています。(ボクサーとしての)違いで言えば井上選手はどちらかと言うと自分のボクシングをぶつけていくタイプだなと感じていて、僕は1回引き入れてから自分の形に持っていくタイプ。“引き出しの出し合い”になる戦いなのかなっていうイメージはありますね。体の体力は当たり前ですけど、頭の体力だって重要。そのなかで活路を見いだして、そこにつけこんでいかないと、そして自分のすべてを出し切らないとダメだと思います」
統一戦で、強い西田に勝ってこそ
井上戦をしっかりと見据えながらも、先ばかりを意識しているわけではない。西田との統一戦に勝たなければ、モンスターとの邂逅がないことは重々理解している。強い西田に勝ってこそ、またひと皮むけることができるのだ、と。
このインタビューからしばらくして、西田との2団体王座統一戦が6月8日、東京・有明コロシアムで行なわれることが決定した。対戦を熱望する中谷、西田の強い思いによって実現した形だ。
20日に再びロサンゼルスに飛び、ルディのもとを訪れる。成長と集中を呼び込む地獄のトレーニング。未知の自分を引き出されることに、今からワクワクしている中谷潤人がいる。
<前編から続く>


