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「マスコミに頭にきてるんです」“変わるセンバツ”で明徳義塾・馬淵史郎監督の変わらない発言力…試合後の怒りのワケは?「牽制なんかしてない」
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田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/19 17:23
春夏合わせて39回目の甲子園となった明徳義塾の馬淵史郎監督。歴代監督として最多の出場回数を誇り、数々の伝説を作り出してきた
馬淵は試合を目前に控えての囲み取材で、それを匂わすようなことを言っていた。
「連覇狙ってるでしょ。4:6であっちのほうが優勢だけど、うちとしてはやりやすい。心理戦だったり、走塁とかを駆使して勝つこともある。どうなるかわからないですよ」
周りには「石垣に投げてほしい」と受け取られるような含みを抱かせていた馬淵だったが、「100%下重君だと思っていました」と確信があったという。実際に健大高崎の先発は、背番号10の下重賢慎だった。
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「1回戦屈指の好カード」と評された試合は、馬淵が「2-0とか1-0の試合をいつも想定している」と睨んでいた通り、1-1のロースコアのままノーアウト一、二塁から始まる延長タイブレークまでもつれ込んだ。緊迫した展開はしかし、1死二、三塁からタイムリーヒットとワイルドピッチで2点を勝ち越され、明徳義塾は1-3で敗れた。
「勝ち進むにはミスしたらダメですよね」
負けてなお潔かった馬淵の表情が強張ったのは、この試合で登板することがなかった石垣への質問を投げかけた時だった。
「勝手に書いてるマスコミに頭きてる」
――組み合わせが決まってから石垣君の名前を出して牽制していたことで、この試合にどんな影響がありましたか?
「牽制なんかしてないよ。勝手に書いてるマスコミに頭きてる」
馬淵が目を見開いて、自らの想いを放つ。
「昔から知ってる仲の青柳君やから『無理せんほうがええぞ』と言ったんです。夏もあるし、石垣君本人もプロに行きたいって言っているなら、と正直に言うただけです。脇腹の怪我は本当にきついんですよ。僕なら絶対に投げさせません、ブルペンにも行かせません。ですから、投げさせなくて正解でしたよ」

