「去年より明らかに表情が豊かに」MLB開幕戦の解説者・五十嵐亮太が明かす〈テレビには映らない〉打者・大谷翔平の進化「骨の動きをミリ単位で…」 

骨の動きからフォーム解析

　野球選手は投手も野手も日々、ピッチングやバッティングの動作の、わずかな変化に細心の注意を払って長いシーズンを過ごしています。自分のイメージしているバットの軌道でボールが捉えられないとか、自分の中でストライクと思っている球がボールだったとか、その感覚のギャップを見過ごしてしまうとそれが大きな誤差につながってしまうこともある。大谷は日々、わずかな差異を微調整しているからこそ1シーズンを通して安定して結果を残せるのでしょう。

巨人との練習試合でホームランを打った大谷　©︎Getty Images

　今シーズンのバッティングフォームや打席での構えに関しても、彼自身としてはおそらく、数センチ、数ミリの範囲で調整しているのだと思います。東京ドームのスタンドからはもちろん、テレビで見てもその微妙な差は見分けられない程ですが、最新の機器も活用しながら自分自身に向き合う姿というのは真のプロフェッショナルだなと感じます。

常に新しい発見を求めて

　キャンプ中の走塁練習を見ていてもしっかり走っていましたし、一方で今季は絶対に怪我をしないように色々と工夫しているのも伝わってきました。普通なら一度怪我をすると、もう繰り返さないようにと守りに入るものですが、彼は決して受け身にならず積極性を失わない。自分ができる中で何がベストなのか、こうすればもっといいんじゃないかな、ということを探す好奇心が見えて、不安やネガティブな姿を一切感じさせません。

記者会見に臨む大谷翔平　©︎Nanae Suzuki

ADVERTISEMENT

　自分ができることをやる、というだけではなく、できることをした上で、まだこれもできるんじゃないか、と常に新しい発見を求めていますよね。そのポジティブな姿勢こそ彼の魅力ですし、他の選手ならばパフォーマンスに影響しそうな不安要素も必ず乗り越えるのがさすがだなとあらためて感じました。

【次ページ】　「大谷の表情が豊かに…」