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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
大谷翔平が「実力がなくて引退、って時が来るかもしれないし」と語った26歳時…微妙な心理と「二刀流を当たり前と思うな」エンゼルス元監督の重い言葉
posted2025/03/18 11:05

2023年、エンゼルス時代の大谷翔平。唯一無二の二刀流として評価を得るまでに至った彼は、どんな言葉を残していたか
text by

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki
ひとりの番記者として大谷選手にした数百の取材質問の中から、WBC優勝、2024年ワールドシリーズ、記憶に残る試合、真美子夫人との結婚や愛犬デコピン、二刀流など、メジャー移籍後を中心に背番号と同じ17の質問を選び、回答や記者とのやり取りから人間・大谷翔平をあらためて見つめる。書籍『大谷翔平への17の質問ー取材現場で記者はどんな葛藤と戦いながら質問をするのかー』(アルソス)から一部転載にてご紹介します。〈全6回/第1回からつづく〉

エ軍の元監督が言った「当たり前だと思うな」
日本と米国を行き来する生活を送っていると、出張の度に忘れられない英語表現との出会いもある。
「Don’t take it for granted」(当たり前だと思うな)。
エンゼルスのマドン元監督が大谷の二刀流について口酸っぱく話していたときに使っていた言い回しで、英語ではよく使われる慣用句だ。それも一度だけではない。事あるごとにマドン監督はこの慣用句を引用した。それからというもの、この言葉は私が大谷の二刀流を取材する際の「行動指針」となっている。
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同監督がそれを言うのを聞く度に、「一瞬たりとも大谷の偉業を見逃してはいけない」という気持ちになったのは、私だけではないだろう。大げさに聞こえるかもしれないが、それくらいの覚悟と責任感を持って、大谷の二刀流と向き合っているつもりだ。
単に実力がなくて引退するっていう時が来るのかも
2020年シーズン終了後のスポニチ単独インタビューで大谷は、自身の二刀流の将来について赤裸々に語った。
柳原「ご自身のピークの考え方を含め、二刀流を何歳までやりたいと思っていますか? それはたとえば、現役引退までなのか、それとも、いつか投打どちらかに絞らないといけないと思っていますか?」
大谷「うーん……やれるまでやりたいなともちろん思っていますけどね。もちろん必ず(投打)どちらかでね、“たとえば、もう一回ケガをして”とかね。年齢的なものと併せて打つ方に専念した方が、選手としてもチームとしてもいいのかなと思う時期が来るのかもしれないですし。