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「監督を辞めた今だから話せるけど…」立浪和義が“最後の試合前”に漏らした本音「志半ばなんだろうな、と」中日OBが語る“ホームランテラス設置”の効果
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岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/14 11:03

昨季まで3シーズン、中日を率いた立浪和義
来季はホームランが出やすくなる理由
来季、バンテリンドームの外野にホームランウイング(仮称)が設置される。狭いナゴヤ球場時代、“恐竜打線”からは森徹、大島康徳、宇野勝、落合博満、大豊泰昭、山崎武司という6人のホームラン王が飛び出た。しかし、ナゴヤドーム移転以降の28年間ではT・ウッズ、ブランコ、ゲレーロの3人に留まり、日本人のキングは生まれていない。
「球場が狭くなると、投手陣に負担が掛かるという意見もあるけど、悪いことばかりじゃない。少し点を取られても、打線が強いと『我慢しよう』と粘れるの。84年、俺は防御率4点台だったけど、16勝してカムバック賞もらったからね。ピッチャーはバッターに育てられる。『ホームランウイング』もいいけど、『ドリームエリア』とか『ハッピーゾーン』なんてどうかな? 言いやすくて、ファンが口にしたくなる名前だと良いよね」
孝政は今までも、ファン心理を考えて球団に提案をしてきた。バンテリンドーム内の『ドラゴンズミュージアム』は、その効果が現れたと言っていい。
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「ドームができる時、『ビクトリーロード』を作ってトロフィーやバット、ボールなどを飾りましょうと言ったの。その道を通って、スタンドに行くようにする。そしたら、おじいちゃんが孫に『杉下茂って、すごいピッチャーだったんだぞ』と説明できるし、先祖代々ドラゴンズファンになってくれるかもしれない。今のミュージアムに、もっとたくさんの貴重品を集めて展示できると、さらに良いけどね」
孝政の自宅には『セーブ王』や『最優秀救援投手賞』のトロフィーだけでなく、数々のウイニングボールが飾ってある。中には、1980年の東西対抗後にもらった王貞治のサイン入りバットや長嶋茂雄のサイン入りパネルもある。
「プロ入り初完封は巨人戦で、最後のバッターが原(辰徳)だったの。彼が監督になった時、サインをもらいにいってね。シャレてる男だからさ、サインの下に『参った!』って書いてくれたよ」
立浪監督時代、観客動員数は右肩上がりに増え、昨年は233万人を超えた。これは黄金期を築いた落合監督時代の2008年以来の水準だった。3年連続最下位ながらも高橋宏斗、細川成也、岡林勇希など若手は着実に成長した。今季の中日は、井上一樹監督の手腕次第では台風の目になるかもしれない。
