「そんな甘い覚悟じゃない。やれないと思ったら言いませんよ」DeNA伊勢大夢が先発転向の真相を語る「もう一度、貪欲にやりがいを求めたかった」 

「体力的な部分は普段からめちゃくちゃ投げているんで問題ないと思います。それよりも問題は球数じゃないところですよね。いくら100球投げられたとしても、結局打たれたら意味がない」

　つまり、相手打者の2巡目、3巡目の攻略が重要になる。コーチやキャッチャーとの密なコミュニケーションが必須となる。

「とはいえ大事なのは自分でどう感じるかですよね。相手がどう対応してくるのか、どんなアプローチなのかってことは試合中でしか感じられないので、それをしっかりとコーチやキャッチャーに伝えて、どうしていくのかって作業が重要になると思います」

5年間ずっとゲームを見てきたデータの蓄積

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　1試合1イニングではない、ゲームを通した継続的な投球術。未知の領域なのは間違いないのだが、そこは5年間のキャリアが活用できると読んでいる。

「対戦経験もそうですけど、これまでの5年間、僕はずっと初回からゲームを見てきているんです。いろんなピッチャーやバッターを現場で見てきて、言葉にするのは難しいのですが、マウンドでバッターと対峙したとき、過去のことが思い浮かぶんですよ。映像として頭の中に出てきて、試合中にそれを振り返ることができる。それぐらい冷静だし、そこで違いというものを出せればいいなと思っています。ただ……」

　そう言うと伊勢は苦笑してつづけた。

伊勢大夢　©NumberWeb

立ち上がりの難しさ

「リリーフは試合ができあがった状態でマウンドに上がるので、初回っていうのはやっぱり難しいですよね」

　伊勢はそう言うが、立ち上がりが得意な先発投手などほとんどいないと言っていい。

「ヨーイドンで行けるようにするにはどうしたらいいのか模索中です。少ない経験の中で1アウト取るのがこんなに大変なんだと思うこともありますけど、波に乗ったら先発の方がイケるって実感はあるので、そこをしっかりと突き詰めたいと思います」

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