ハマ街ダイアリーBACK NUMBER

「そんな甘い覚悟じゃない。やれないと思ったら言いませんよ」DeNA伊勢大夢が先発転向の真相を語る「もう一度、貪欲にやりがいを求めたかった」 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/03/10 11:03

「そんな甘い覚悟じゃない。やれないと思ったら言いませんよ」DeNA伊勢大夢が先発転向の真相を語る「もう一度、貪欲にやりがいを求めたかった」<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

過去5年間、リリーフとして盤石の地位を築いてきた伊勢大夢。なぜ今、あえて先発という未知の領域に挑むのか?

僕は彼らと違って、100%で投げられない

「彼らはマウンドに上がると100%で投げることができるし、そこにすごくリスペクトを感じているんです。じつは僕は100%で投げることができないんです。変なクセがついてしまっていて全力が出せない。ああ、これもう駄目だなって。それもあって先発をやってみたいなって思ったんですよ」

 これまでのキャリアと揺れ動いた投手としてのアイデンティティー、そして自身のコンディショニングもあって決断した先発転向だった。山﨑康晃をはじめ、ブルペンの同僚たちに先発転向を伝えると、誰もが「頑張って!」と背中を押してくれた。

 さて、肝心の先発においてのピッチングだが、ここまで順調に状態を上げることができていると伊勢は手応えを感じている。3月2日の中日とのオープン戦(バンテリンドーム)では先発として4イニングを投げ、被安打1、4四球、自責点0でマウンドを降りている。

ADVERTISEMENT

 ストレートは140キロ台後半をマークするなど、例年に比べればボールは走っており、空振りも取れている。またフォークやスライダーをコースに投げ分け、カットボール、カーブなども織り交ぜゾーンを広く使うことができている。「コントロールには自信があるので、今後精度は上げられると思います」と、伊勢は自信を窺わせた。

 その証拠に3月8日のイースタン教育リーグの西武戦(横須賀スタジアム)では5イニングで80球を投げ、被安打4、7三振、無四球、1失点と上々のピッチングを見せている。

先発・伊勢とリリーフ・伊勢の違いとは

 果たして『先発・伊勢大夢』と『リリーバー・伊勢大夢』との違いとはなにか。そう問うと、伊勢はかぶりを振った。

「いや、違いを見せようとは思っていないんです。あくまでも、リリーフとしての僕の延長で投げないと使ってもらえないと思っています。そうではなかったら、じゃあリリーフやってくれよ、となる。あくまでもリリーフと同じ内容の伊勢が6~8回投げられる。イニングが食えるってところを見せるようにしなきゃいけない」

 そういった意味からすればスタミナという部分がクローズアップされるが、先の中日戦では4イニング投げても余力は十分にあったという。

【次ページ】 5年間ずっとゲームを見てきたデータの蓄積

BACK 1 2 3 4 NEXT
#横浜DeNAベイスターズ
#伊勢大夢

プロ野球の前後の記事

ページトップ