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ツバメのさえずり日誌BACK NUMBER
あえて増量「三冠ボディ」で復活へ…ヤクルト村上宗隆「過去2年は誰がどう見ても失敗」と言い切る男の“メジャー挑戦前の覚悟”とは
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/03/09 11:05
「ラストイヤー」への決意を語った村上。その胸には副キャプテンマークが
しかし23年は、春先から絶不調に陥るなど、不本意な1年に終わった。24年は本塁打王、打点王と二冠を獲得したが、一方で180三振を喫し、打率も下がる(.244)など課題を残した。主砲の好不調はそのままチームの成績に反映し、昨季まで2年間はいずれも5位と低迷。負けず嫌いで責任感の強い村上にとってそれは、耐え難いものだったろう。
村上が行き着いた心境とは
長い試行錯誤の時間を経て、村上が行き着いたのは「自分自身と向き合う」ことだった。
「自分を見失わないことの大切さというのをすごく感じました。打撃が良くなりたい、野球が上手くなりたい、と思うことは勿論ですけど、そこに対して自分を見失ってしまっては意味がない。例えば体の小さい選手が僕の真似をしても、きっと合わないじゃないですか。それと同じで、人それぞれに特長がありますし、それぞれやるべきことは違う。
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高みを目指すのは当たり前ですけど、まず自分を見失わないこと。何より大前提としてチームに対する気持ち、勝敗に対する強い思いがものすごく大切だなとあらためて思いました」
賢明な判断をして取り組んでいく
23年夏に村上はテレビのインタビューの中で、WBCでトップレベルの選手に刺激を受けて様々なトレーニングを試したことを明かし「何が正解か分からなくなってしまった」と苦悩の一端を吐露している。進化を期して取り組んだことが空回りする、歯がゆい日々。しかし、そのトライ&エラーは無駄な時間ではなかった。
「自分と向き合うことで、自分に合っているものや、自分が本当はどうしたいのか、ということが見えてくる。(今後は)そこで賢明な判断をしたいな、と思います」
自分の本質に立ち返り、本当に必要なものを知ったことで「失敗」を「成功の母」へと変える鍵を手にした。それは、新シーズンに向けての取り組みにも表れている。まず、目を惹くのが、キャンプインに向けて一回り大きくなった「体」だ。

