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「悪魔的リーグです。ズタボロにされたら評価が…」地獄のプレミアを味わう日本代表DFだが「つらさ? 全くないっすよ」なぜ菅原由勢は前向きか
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林遼平Ryohei Hayashi
photograph byMatt Watson/Southampton FC/Getty Images
posted2025/03/13 17:01
サウサンプトンで朗らかな笑顔を見せる菅原由勢
サイドバックやウイングバックは、そんな相手に対応するなど守備面での貢献も多く求められる。なおかつ、ほとんどのクラブが豊富な資金力を有するが故に、パフォーマンスが良くなければ簡単に代わりを連れてきてしまう世界である。普通に考えれば、プレッシャーは相当なものだろう。
怯えているわけではないけど…地獄のような
だから、ストレートに聞いてみることにした。プレミアリーグでディフェンダーとして活躍することの難しさがどれほどのものなのか。菅原は「いやぁ大変ですよ」といつもの笑みを浮かべながら、少し間をおいて真剣な表情に戻り、そのやりがいを言語化した。
「僕は毎試合、対戦相手のウイングやサイドバックを分析するんですけど、例えばトップ6以外のチームの選手を見てもめちゃくちゃうまくて速い選手しかいない。ノッティンガム・フォレストならハドソン・オドイがいて、途中からエランガが出てきて。これはディフェンスからすれば、悪魔的なリーグだなと思います。次から次に超人たちが出てくる。プレミアリーグの魅力ですよね。
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毎試合、もう本当に地獄のようなというか、怯えているわけではないですけど、やはり彼らがボールを持ったときの怖さはありますね。それにイージーミスをしたらほぼ失点してもおかしくないのがプレミアリーグの怖さでもある。ズタボロにされたら評価がドーンと落ちますけど、そこで90分間止められたら、ガラッと変わって 果てしなく評価される世界なわけで。そうなると、選手自身のレベルは上がりますよね。成長できると思います。確実に」
「悪魔的なリーグ」という言葉は非常にしっくりきた。最終ラインの選手としては、心も体もタフに戦っていかないと生き残っていけないのは明らかだろう。
今日が最後だと思って死ぬ気でやらないと
そんな環境を日常とする。高いレベルに身を置き、基準が上がった上でさらに自身を磨く。これこそがプレミアリーグを目指した理由だった。常に上手くなりたいと前を見てきた男は、その価値をしかと感じている。
「オランダの最初の2、3シーズン、ライバルがいる中で絶対試合に出てやると思って毎日死ぬ気で練習していました。だけど、ある程度長く在籍してクラブ、監督からも評価されると、正直、試合にはほぼ出られる状態だったんです。もちろん100%で練習はやっていますけど、例えば本気で『今日が最後』だという勢いで練習していたかと言われたら、そうしなくても試合にはある程度出られる状況だった。
でも、僕はそれがすごく嫌だったんです。

